鋭い“深読み”も全否定! 今も昔も変わらぬ、「電気グルーヴに茶化される小室哲哉」という構造
#小室哲哉
■小室哲哉の大絶賛にも、全否定
電気への深読みが特に顕著なのは、小室哲哉だ。彼と電気との出会いは1991年までさかのぼり、TMNのシングル「RHYTHM RED BEAT BLACK」をメジャーデビュー前の電気がリミックスしたことがきっかけであった。
小室は当時の電気について「すごい生意気でびっくりするくらい平然としてたので、それが逆に驚いた。そういうスタイルにしてたんだと思うんですけど」と振り返る。だが、電気による回顧は異なる。ピエール瀧は「別に計算してやってたわけじゃないと思うんですけど」、卓球は「そういうスタイルってことにしてもらったほうがありがたいけど。『事務所に、そういうふうに振る舞えって言われてたんスよ』って。まさか、そう受け止めてもらえるとは(笑)」と証言している。
小室による深読みは続く。電気の1997年の大ヒット曲「Shangri-La」について、「すごいポップになったけど、それも洒落でやってるのかなって思いました。『こういうのもできますよ』みたいな。それが余裕でカッコいいんだよね」と大絶賛したが、卓球は「洒落でやれるほど余裕はなかった」と、またしても全否定。
そして小室は、3人組としてデビューし、メンバーチェンジを経て2人組となった電気に対し「ケミカル・ブラザーズとかダフト・パンクとかアンダーワールドとか、結果として2人になったグループを意識しているのか?」と、本人たちでさえ思いつかなかった勘繰りを電気にぶつける。
この問いに対し、瀧は「別に意識して2人組になったわけではないですけど(笑)」、卓球は「ケミカル・ブラザーズとかダフト・パンクみたいになりたいから、まりん辞めさせよう! って(笑)」と、当然のように、そして苦笑交じりに否定している。
この構図は、歌詞の裏に隠された真意を読み取ろうと努力するボブ・ディランのファンを想起させる。飄々とした電気に一目を置き、彼らの言動から深き意図を読み取ろうとする人は少なくないが、さすがに小室は予想以上だ。
ちなみに、今年4月にTMが発表した「GET WILD」30周年記念アルバムに卓球はリミックス参加しており、小室と電気の親交は現在も続いている。シニカルに生きる(シニカルに見える)電気に茶化される小室という構図は、今も昔も変わらないようだ。
かつて、小室所有のフェラーリに自身の男性器をこすりつけ、「ここから腐るぞ!」と言い放った卓球の振る舞いはファンの間で伝説である。
(文=寺西ジャジューカ)
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