第3話12.0%の好調『過保護のカホコ』高畑充希の“怪演”と「セーフティネット」としての竹内涼真
#ドラマ #日本テレビ #高畑充希 #どらまっ子AKIちゃん #どらまっ子 #過保護のカホコ
ネットで「片想いの人に告白する方法」も調べました。パパに頼んで、素敵なワンピースも買ってもらいました。しかし、ママに接見禁止令を出された後も麦野くんとコソコソ会っていたことがバレてしまいました。
「今まではそんなことなかったじゃない」
「ママは一番傷ついたの、カホコに裏切られたみたいで」
ママは完全に被害者みたいな振る舞いです。今までだってカホコの言うことをちゃんと聞いてくれたことなんてなかった。今だって「世の中で一番関わっちゃいけないのは役者とミュージシャンと画家の卵なの」とかワケのわからない理由で麦野くんを罵倒してる。麦野くんのこと、なんにも知らないくせに……。
「あたし、こんなの初めて……」
カホコの瞳に火が灯ります。今日までカホコがママの言うとおり生きてきたのは、ママと思っていることが同じだからでした。初めて、ママが自分の気持ちと違うことを言っている。その事実がカホコを興奮させているようです。
「麦野くんの悪口はやめてくれないかな」
「ママが何言おうと、カホコは麦野くんと会いたいから、会うから」
ママが「ちょっとカホコ……」と口を挟もうとすると、カホコの興奮は頂点に達します。
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ! うるさいうるさいうるさい! もうこれ以上カホコの邪魔しないで!」
カホコはそのテンションのまま家を飛び出し、いつもは電車で通っている大学まで疾走。いつものようにアトリエにこもっている麦野くんに「ハジメくん!」と駆け寄ります。ちなみにカホコが麦野くんを「ハジメくん」と呼ぶのは、告白するときは下の名前で呼んだ方がいいとネットに書いてあったからです。
勢いでそのまま「カホコが好きなのはハジメくんなの!」と言い切ってしまい、「あああああああああああ」となって、カホコは家まで逃げ帰ったのでした。
■高畑充希の“怪演”と、がっつり噛み合う竹内涼真が尊い
このドラマの主人公であるカホコは、純粋無垢なぶっ飛びトリックスターとして登場しました。いわば、自我がゼロの状態からさまざまな事態にリアクションを取っていくことで、人物を変化させていくわけです。そうした特異な人物に実存感を与えている高畑充希の怪演には、毎回目を瞠ります。
パソコンで「告白の方法」を調べているときにパパが部屋に入ってくる。あるいは、秘密のワンピースを着てみているときにママが部屋に入ってくる。そのときに慌てふためいたカホコが出した奇声は、あれは脚本で書ける言葉ではないですもんね。でも、カホコならあんな感じだろうなって、自然と受け取れますもんね。
一方で竹内涼真が演じる麦野くんは、母・泉の“王国”の外にいる、ほとんど唯一の人物として登場します。つまり、カホコと世界を結ぶ唯一の接点が彼なのです。その竹内が、常識から外れない範囲で、かつ好感度が高く、まるでリアクション芸ともいうべき芝居を披露していることが作品の“地に足が着いてる感”にすごく貢献していると思います。カホコならずとも、麦野くんに嫌悪感を抱く視聴者はほとんどいないんじゃないかと思います。
今回、黒木瞳の泉ママは、パパを落とすためのお弁当を実はお母さんに作ってもらってたことがバレてしまったり、糸ちゃんがチェロを弾けなくなって以来、なんだか張り切っていることを喝破されたり、どんどんイヤな奴になってきています。
もとよりカホコは理解不能だし、時任パパは頼りないし、この家族にはなかなか感情移入しづらい設定のドラマだと思うんですが、とりあえず麦野くんが画面に現れると、「こいつは信用できるな」という気がしてくる。安心できる。ドラマでどこまで人間を醜く描いても、こういう信用できる人がひとりいると、視聴者としても救済される感じがしてすごく見やすいんです。ひとりの役者の芝居が、作品全体のセーフティネットとして機能している。竹内涼真は今回、役割以上に大きな仕事をしているように思います。
ともあれ、かなり面白いので次回も楽しみですよ~。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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