黒木香の焼肉屋は良心的だった!? タレントショップの流行に煽られた「一般人のサイドビジネス」
#雑誌 #出版 #昼間たかしの「100人にしかわからない本千冊」
やたらとみんな稼いでいたと誤解されがちな、バブル時代。でも、好景気が正社員の給与に反映されるまでには、長い時間がかかった。
大卒初任給がようやく20万円台を突破したのは1989年のこと。アルバイトの時給が高騰する一方で、正社員の給与は低く抑えられていた。
現代では、好景気の割に意外と儲かっていないサラリーマンも多かったというバブル時代の真実は、忘れられている。みんな経費が使い放題だったとか、給料はすぐに上がったという神話を信じて、お得な人生を送ったバブル世代に対する怨嗟をにじませているのである。
だが、すべてのサラリーマンがそうであったワケではない。現代でも、会社の部署によって経費の使える、使えないはさまざま。業種によっては、いつの時代にあっても常に儲からないのが当たり前なんてのも珍しいものではない。
例えば出版業界だってそうである。当時、雑誌編集部で働いていたような編集者に聞くバブルの逸話は、とにかくゴージャス。会社に出勤するよりも、飲み歩くのが仕事みたいになっている者もいた。でも、当時は雑誌が売れまくる一方で、書籍はあまり売れない時代。吉本ばななの登場によって、文芸書は再び脚光を浴びるようになるわけだけれど、硬派な書籍を担当していた編集者なんて今も昔も儲かってはいないもの。
だから、職場などで「バブル時代は最高だった」と吹聴して回るバブル世代のヤツらの言説を、容易に信じてはいけないのである。
そんな儲からない時代だけれども、現代と大きく違うのは、儲からない時にどうすればいいかという意識である。現代において、稼ぎも少なく残業も多い人々は、ネットでブラック企業に勤務する我が身を嘆くばかり。
でも、バブル時代は違った。
仕事が忙しかったといわれるバブル時代。でも、忙しいハズなのに、多くの人々は体を酷使することを厭わなかった。雑誌やテレビを見れば、次々と物欲をそそられるものが登場する。街はキラキラと輝き、カネを持ってそうなヤツらが我が物顔で歩いている。
疲れた体を引きずって精神をすり減らす現代と違い、多くの人々はサイドビジネスで稼ぐという手段を選択したのである。
「ゴージャスに遊びたいから、そのためにもっと稼いでやる!!」
そんな意識がバブル時代の標準だったというわけである。
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