安倍チルドレン“魔の2回生”問題児たちの醜聞続々……アル中、暴言、なんでもアリ!?
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
29(にく)らしいほど強い藤井聡太(14)四段だが、30連勝はできなかった。
安倍政権のおかげで先の見えないどんよりとした雲が覆う日本列島だから、明るい話に飛びつきたい気持ちはわかる。だが、いささか騒ぎ過ぎではないか。
29連勝を達成した夜のNHK『ニュースウオッチ9』は、放送開始から9時40分ぐらいまで、増田四段(19)との対局を生中継し、29連勝が決まった瞬間、キャスター2人がバカ騒ぎをしていた。おまけに新聞社は号外まで出したのだ。
翌日、私が読んだのは東京新聞と朝日新聞だが、一面トップが、ともに藤井29連勝だった。
私が整理部長だったら、せいぜい社会面トップまでだろう。14年の「レジャー白書」によると、一度でも将棋をしたことがある人は13年で670万人。将棋ファンの数は、はるかに少ないはずだ。パチンコが970万人、ゲームセンターが1,540万人だから、超マイナーといってもいい。
それはともかく、非公式だが羽生善治三冠まで破っているのだから、藤井四段の強さは本物である。
新潮は、彼に敗れた棋士たちに、藤井の強さについて語らせている。いわく「終盤が強い」(小林七段)、「時間配分が上手く、持ち時間を残しておくから終盤にしっかりと読み込める」(所司七段)、「集中力のすごさは感じました」(大橋四段)。
新潮によると、大方の棋士たちが、藤井は現段階でトップ10~20人には入る実力があると太鼓判を押しているそうだ。
瀬川五段によると、ミスをしたときは膝を叩いたり、ボソッと小さな声で「しまった!」と口に出すそうだ。中学3年生の顔が時々覗くそうだが、そこがまたいい。
こうなると渡辺明竜王や羽生善治三冠に挑むのも視野に入ってくるが、その先に、今や最強といわれる人工知能(AI)と、いつどういう形で対戦するのかも楽しみになる。
藤井四段は、いまのところAIとやるつもりはないと語っているが、彼の将棋にはコンピューター将棋の影響が色濃くあるといわれる。
文春で40代の棋士が、自分たちの世代はソフトの判断をそのまま受け入れることに抵抗があるが、「藤井君の世代だと、ソフトが示す判断基準をそのまま受け入れる事はごく普通のことだと思う。実際、藤井将棋はコンピューターの思考が色濃く反映されていると感じます」と語っている。
私事で申し訳ないが、私の父親は将棋が好きで、たしかアマ三段か四段だったと記憶している。家には分不相応な将棋盤と駒があり、休みの日は前に坐らされ、駒の動かし方から教えてもらったのは小学校低学年の頃だった。
当時、中野に旧将棋連盟本部があったせいだろうか、升田幸三第四代名人の着物姿をときどき見かけた。私もいっぱしの将棋少年だったが、すさまじく短気な父親に、指すたびに怒鳴られるため、ついには将棋盤をひっくり返し、以来、将棋とは無縁になった。
だが、会社に入って作家の山口瞳さんから芹沢博文や米長邦雄を紹介され、親しくなり、特に芹沢九段にはかわいがってもらった。彼も14歳で入門して、19歳で四段となり「天才」といわれた。
だが多才すぎた。無類のギャンブル好きで、女好き。原稿を書かせたらそこら辺の作家顔負けの素敵な文章。TVタレントとしても売れっ子で、酒は底なし。
晩年、血を吐いて入院し、医者から酒をやめないと命取りになるといわれたが、ワインは酒ではないからと、ジャブリを朝から飲み、箱根のホテルへ行った時はホテル中のシャブリを持って来させ、私たち数人で飲み干した。
確か、田中角栄に将棋を教えていたと記憶している。彼を通じて角栄インタビューを申し込んでOKをもらった。だがインタビュー直前、角栄の秘書の早坂に「俺を通してない」といわれ、実現はしなかった。
将棋指しの世界を見せてくれた。「お前のためならなんでもやってやる」といってくれた芹沢九段だったが、酒で体を壊し、たしか51歳の若さで亡くなってしまった。奥さんから聞いた。死ぬ間際、彼女に「ごめんね」といったという。
藤井四段の話から余談にいってしまったが、米長邦雄の口癖は「兄貴たちはバカだから東大に行ったが、オレはできるから将棋指しになった」。文春によれば、藤井は小四のときには、五十手以上の詰将棋を、あっという間に解いたという。地頭のよさとAIからも吸収できるいい環境があるのだから、連勝はストップしたが、彼がどこまで強くなるのか、これから楽しみではある。
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