ミサイルの被害は、けが人20人!? 岩国市の有事想定訓練が、なんかオカシイ……
#北朝鮮
「ミサイルって死ぬんだ ちょっとけがするくらいかと思った」
というTwitter発のネタが一瞬だけ話題になったのは、北朝鮮有事が騒がれていた4月のこと。6月に入り、内閣官房・総務省消防庁が「弾道ミサイル」落下時について取るべき行動を伝えるCMを公開し、ミサイルの話題はすっかり日常に浸透している。
ただ、このCM、ミサイルが発射され国民保護サイレンが鳴った場合には頑丈な建物に避難するとか、地面に伏せ頭部を守るとか、ホントにそんなんで助かるのか疑問がいっぱい。かつてイギリス政府が核攻撃対策として勧めていた簡易シェルター(外したドアを壁に斜めに立てかけて、上をクッションなどで覆う)を、本気でやっていた時代と、そんな変わっていないような気が。
ともあれ、さまざまな自治体では、備えあれば憂いなしとばかりに国民保護サイレンが鳴る状況を想定した訓練も行われている。
そんな中、広島県岩国市で行われた訓練が、どうしてこうなってしまったのかという想定で行われてしまった。
27日に行われたこの訓練は、岩国市内に弾道ミサイル1発が着弾した想定で行われたもの。市内242カ所の屋外スピーカーで避難を呼びかける音声を放送したほか、市役所では警察や消防、さらに自衛隊も参するし対策本部を設置し、図上訓練が行われたという。
問題は、この図上訓練。ミサイルにより住宅10軒に被害が出て、20人がけがをしたとの想定で初動対応を確認したという。
ここに、読者の皆さんも違和感を覚えたのではないだろうか?
そう、ミサイルの威力ってそんなものなのか? 岩国市の人口は今年6月現在で6万5,266世帯、13万5,632人。核弾頭ではないにしても、ミサイル攻撃がそんな被害で済むハズがない。それとも、岩国市といえども山の中とか、離島にでもミサイルが落ちたという想定なのだろうか? あるいは、岩国市の担当者がミサイルで人が死ぬことを知らなかったのか?
そこで、訓練を担当する岩国市の危機管理課に聞いてみたところ……。
「今回の訓練は手順を確認するのが目的です。これまで、国民保護法に基づく訓練をやっておりませんでしたので、それを確認するために、警察・消防とも話し合って会議を行ったんですが……」
と、あくまで訓練の目的は、いざというときの手順を確認することにあると強調する。
それにしても、この被害は小さく見積もりすぎなのではないか。その点を尋ねてみると……。
「あくまで、初動であって、これから被害は、もっと数が増えることを想定しています」
なるほど、20人のけが人とは、最初に市役所が把握する被害状況。実際には、もっと多くの被害が出るであろうことも想定しているというのだ。よかった、ミサイルで人が死ぬことを知らない人はいなかったのである。
とはいえ、弾道ミサイルが1発だけ着弾というのはちょっと考えにくいもの。どうせやるんなら「ミサイルにより市役所が全壊」くらいの想定でやったほうがよいのではなかろうか。
(文=昼間たかし)
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