藤原竜也が惜しみなく裸を、尿まで 篠山紀信撮影『竜也 いまの俺』【写真集レビュー】
俳優たちの貴重な一瞬をとらえた写真集。現実の時は確実に流れていますが、写真集の中にはその時にしか見ることの出来ない表情や仕草が詰まっています。カメラが収めたイケメンの永遠を、写真集から見ていきます。
藤原竜也は“射精”した
1997年、15歳の時に故・蜷川幸雄さん演出の舞台『身毒丸』の主演に抜擢され、ロンドン公演で俳優デビューした藤原竜也さん(35)。以降、誰もが知る絶叫系実力派俳優として数々の舞台・作品に出演し続け、今年で俳優人生20年目を迎えます。
2008年に発売された藤原竜也×篠山紀信『竜也 いまの俺』(集英社)は、およそ10年前、藤原さんが俳優人生10年目を迎えた節目として企画された写真集です。撮影時期は08年1月から6月。藤原さんが25歳の時に撮影されました。この写真集は3本の柱で構成されていて、『身毒丸』の復活公演から始まり、次に彼が俳優デビューを飾った地・ロンドンを訪れ、最後は08年に上演された『かもめ』で締められています。
『バトル・ロワイアル』や『デスノート』、最近だと『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』といった映画作品で知られる藤原さんですが、もともとは舞台人なんですよね。大変申し訳ないのですが、筆者も藤原さんの演技は映像作品でしか見たことがありません。でも、この写真集にいる“舞台の上の彼”を見た瞬間、激しく後悔しました。なんでこれまで見てこなかったんだと。『身毒丸』で母と禁断の愛に落ちる息子役(身毒丸)を演じた藤原さん。そのドロドロ感、狂気、そして熱量は写真越しからでも痛いほど伝わってきます。戻れるなら10年前に戻りたいし、なんなら20年前に戻って15歳でこの役を演じる藤原さんも見たい! と、感じる写真の数々。
写真集には、『身毒丸』の通し稽古の様子も収められていました。その中には、稽古場で蜷川幸雄さんと談笑する藤原さんの姿もあって。俳優たちに厳しく檄を飛ばすことで有名な蜷川さんでしたが、その時の写真はまるで父と息子のような雰囲気。そこから身毒丸に変身する藤原さん。その対比がとてもセンセーショナルな構成になっていました。
ロンドンでの撮影では、舞台の鬼気迫る雰囲気から一変して、藤原さんの素顔を垣間見ることができる章となっています。デビューを飾ったバービカン劇場をはじめ、ロンドンの町中を歩く藤原さん。公衆便所での立ちション姿といった衝撃的なカットも! 尿が飛んでる!! その中で個人的に萌えてしまったのはコインを持った藤原さんの手がアップにされたカット。結構深爪だったんですよね……。
なにより、この写真集で大変なことになっているのは、藤原さんのヌード。服をすべて脱いで、シャワーを浴びるカットが収録されています。藤原さんは、体毛がほとんど生えていないきれいな肌(ワキ毛も薄い!)。マッチョでもなく、痩せ型でもない、ちょうど良い身体です。なんて言ったって、肌が水を弾いています! まあ当時25歳ですからね。身体を洗いながら、カメラに屈託ない笑顔を向ける藤原さんは、良い意味で“舞台を降りればだたの男”感にあふれていて、とても良き……! ヘアスタイリング剤のボトル1本でイチモツを隠すという芸当もあって、ホントびっくりの連続なんですよ、ロンドンは。
巻末にある篠山紀信さんとの対談で、藤原さんはこの写真集について「外見ではなく、どこまで内面をさらけ出せるかというのがひとつのポイントだと思ってて」「内面から魂からこぼれ出るという意味で、ある意味『射精』だったと思います(笑)」と撮影を振り返っていました。射精……! この“射精”について、篠山さんは「射精という、自分の中にあるものを全部吐き出すという快楽。そして、それは次の生へ向かう一種の死でもある。そこへ向かう、その一瞬を撮るということがいいんじゃないか」と提案し、藤原さんも応じたといいます。
確かに、この写真集は藤原さんをキレイに撮るということはあまり意識していないように感じます。ロンドンの海辺で座り込んでいるカットでは、ジーパンからパンツが見えていたりしましたし。全体を通して見ると、どことなく藤原さんの人間らしさに触れられる一冊。俳優人生10年目という節目に“射精”して、その時の内面を見せてくれた藤原さん。この作品以降、写真集の発売はないのですが、ぜひ20年目の“射精”も見てみたいと思いました。
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