体罰、セクハラ、長時間拘束……生徒も顧問も悩まされる「ブラック部活」の実態
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6月12日、埼玉県の私立武蔵越生高校において、外部コーチがによる体罰の様子を記録した動画がTwitterに投稿され、7万以上のリツイートを記録。新聞、テレビなどのメディアでも広く報道され、同校では、このコーチを解雇。謝罪を行った。
体罰や長時間練習によって、生徒や顧問を追い詰める部活動は「ブラック部活」と呼ばれるようになり、問題視されている。2012年、大阪市立桜宮高校ではバスケットボール部のキャプテンを務めていた2年生の男子生徒が、部活における顧問からの体罰、暴言、理不尽な指導を理由に自殺。神奈川県横浜市の公立中学校では、行きすぎた指導によって柔道の生徒の脳の静脈が切断され、いまでも後遺症が残っている。
いったいなぜ、「ブラック部活」が横行してしまうのだろうか? そして、どのように改善すればいいのだろうか? この問題に迫ったライターの島沢優子による新著『部活があぶない』(講談社現代新書)から、その構造を見ていこう。
特に体育系の部活において、一番の問題となっているのが暴力行為だ。「スポ根」の時代は遠くなったとはいえ、顧問による体罰や暴言は、いまだに数多く行われている。では、いったいなぜ、体罰や暴言はなくならないのだろうか? 生徒の自殺という最悪の結末を迎えた桜宮高校の事件の後でさえ、元アスリートなどから「私たちのころは(体罰が)もっとすごかった」「僕らの時代はこんなもんじゃなかった」「亡くなった子は心が弱かった」など、体罰を正当化する発言が行われている。実際に体罰を行っているという現役顧問は、島沢の取材に対して「叩いてやらせる時代じゃない」と前置きしながらも、このような迷いを口にしている。
「ただ、(暴力のような)刺激を与えずに、選手が伸びるのだろうか。この先、結局は陰で叩いてやらせるコーチが得をするのではないか。教えるほうも、やるからには勝ちたいけど、どう指導していけばいいのかわからない」
また、女子生徒が活躍する部活においては、性暴力の事例も少なくない。16年には横浜市立中学校女子バレーボール部顧問が尻や胸を触る、足や腰をマッサージするなどの行為によって懲戒免職。同年、福岡大付属若葉高校の吹奏楽部男性顧問が「腹式呼吸の練習」と称し、女子生徒の下腹部を触ったり、ブラジャーのホックを外して楽器を吹くように指示をし、諭旨解雇となった。90年代には、九州の高校女子バスケット部顧問が、複数の生徒と性的関係を持っていたことも明るみに出ている。
部活において、暴力に直面した男性は、島沢の取材に対して本音を吐露した。彼は、暴力に対して「みんな我慢しているのに、自分だけチクったら卑怯」「自分が騒動のきっかけにはなりたくない」といった理由で被害を言いだすことができなかったと述懐する。
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