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総選挙結果を予見した!? 指原3連覇の裏で“負け犬”に光を当てた『豆腐プロレス』

tofu0619テレビ朝日系『豆腐プロレス』番組サイトより

 17日、『AKB48 49thシングル選抜総選挙~まずは戦おう!話はそれからだ~』の開票日の夜に放送された『豆腐プロレス』(テレビ朝日系)22話。今回のタイトルは「拝啓、ユンボ島田様」。タイトルのとおり、ユンボ島田(AKB48島田晴香)に向けられた手紙がドラマにおける重要な役割を担う回だった。その手紙の書き手は、同じ工事現場同盟のボイス山田(NGT48山田野絵)。彼女がユンボ島田に向けて書いた手紙のモノローグが、ナレーションの代わりのように随所に登場する演出だ。

 そして、今回の対戦カードは待ちに待った、最大のライバルであるハリウッドJURINA(SKE48松井珠理奈)。リングに上がったユンボ島田とハリウッドJURINAは、リングの真ん中で向き合って会話する。「お前に勝って、お前が押し殺している本当のお前に弱音を吐かせてやるよ」と啖呵を切るユンボ島田に対し、ハリウッドJURINAは「弱音を吐くハリウッドJURINAなんて、誰も見たくない」と応答する。その様子をリングサイドから見上げるボイス山田。ここで「私は、あなたが珠理奈に勝つことを信じています。この手紙は、あなたの勝利に向けた、私の祈りです」と山田のモノローグが入る。

 試合自体も見応えがある。両者のロックアップから、向き合ってのエルボーの応酬。島田と松井は、確かに運動神経はよいが、これまでこのドラマを盛り上げてきたSKE48須田亜香里、AKB48湯本亜美、NGT48加藤美南といったメンバーのようにアクロバティックな動きができるわけではない。だが、流れるような動きは緊張感があって面白く、ドラマ放送前にあった「ボロが出てしまわないかな」という不安を一蹴するような展開だった。

 今回の注目すべき点は、極端に言ってしまえば「ユンボ島田がどう負けるか」。主人公のチェリー宮脇(HKT48宮脇咲良)と、彼女の憧れの存在であるハリウッドJURINAの決勝戦になるのが同ドラマの流れとしては順当であり、そのためにはユンボ島田は、ハリウッドJURINAに負けなければならない。では、どう負けるか。あるいは、その敗北がどのようにドラマで表現されているのか。そこがおそらく今回の見どころである。

 リングサイドの山田に戻ろう。山田は、ラーメン屋で食い逃げしようとしていたところを島田に見つかり、そのまま島田に誘われプロレスを始めるようになる。島田の誘い文句が、かつてWIP(ワールド・アイドル・プロレスリング)会長の矢崎英一郎(渡辺いっけい)が暴れまわっていた島田に対してかけた言葉と同じ「その情熱、プロレスに注いでみないか?」というセリフだったというのにグッとくる。

「これまであなたは、島田晴香を押し殺してユンボ島田を生きてきました。ハリウッドJURINAが、松井珠理奈を押し殺しているように」後輩のセリフで描かれるユンボ島田と、それと並列して語られるハリウッドJURINAがリング上で戦うシーンには胸を打たれる。気づけばリングを飛び出し、試合は場外乱闘へ。

「あなたはハリウッドJURINAを誰よりも尊敬している。私はそんな気がしています。だからあなたは、ハリウッドJURINAに勝ちたかったんですよね」。このあとハリウッドJURINAはユンボ島田との場外乱闘で流血するのだが、山田のセリフが効果的で、ユンボ島田の凶器などを使った攻撃が単なるヒールの卑劣な戦い方以上の意味を持っていることを感じさせる。試合の盛り上がりとともに、リングサイドを走り回りいつもの奇声をあげ騒ぎ立てるボイス山田。赤いメイクの奥に見えるユンボ島田を見つめる瞳がいつも以上に純粋に見える。それは、ユンボ島田が負けるという“死亡フラグ”を示唆していた。試合は一進一退だったが、最後はハリウッドJURINAの勝利となった。

 ライバルがいるからこそ互いに輝くことができた。しかし、どちらかが負けなければならない。そういうとき、負けるのは悪役。この試合であれば、ユンボ島田であった。

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