究極の内輪番組? 『あいつ今何してる?』が深く心に刺さる理由
#テレビ #テレビ朝日 #バラエティ #テレビ裏ガイド #てれびのスキマ
見るたびに、毎回よくできているなあと思う番組がある。『あいつ今何してる?』(テレビ朝日系)だ。
2015年10月から深夜で放送され、翌年4月から新たにネプチューンを司会に迎え、早くもゴールデンに昇格。現在も好評放送中だ。
番組の内容はタイトル通り。ゲストの著名人が、事前に学生時代の卒業アルバムを見ながら友人たちを回想、その話に出た友人=あいつが今、何をしているかを探る番組だ。
昨今、「素人」に焦点を当てたドキュメント系バラエティ番組が隆盛を誇っている。たとえば、空港を訪れた外国人に密着する『YOUは何しに日本へ?』や、終電を逃した人の家についていく『家、ついて行ってイイですか?』(ともにテレビ東京系)、あるひとつの場所を訪れる人に話を聞く『ドキュメント72時間』(NHK総合)などがそれに当たるが、この番組もその系譜にあるといっていいだろう。
スタッフが「あいつ」を探し出し、その人の職場や自宅に出向き、その後にたどった人生を振り返りながら、ゲストが回想しているVTRを見せて、感想を聞くというものだ。もちろん、「あいつ」はほとんどの場合、一般の人たち。そんな無名の人たちの人生なんか、テレビの、それもゴールデンの番組で取り上げて誰が興味あるんだ? と思うかもしれないが、ひとたび見始めると、これがくぎづけになるのだ。
もちろん、その面白さのひとつに、「あいつ」を通して見た有名人の知られざる過去の話を聞くというものもあるだろう。
卒業アルバムを見ながらゲストが回想するため、それまで忘れていたようなことを思い出したりする。あるいは、これまで話してこなかった初恋の話などをポロッとしたりする。その相手はどんな人なんだろうというミーハーな興味を満たされたりもするし、これまで鉄板のエピソードトークの登場人物のひとりとして登場していた人を実際に見られる喜びもある。数は少ないが、意外な有名人と学生時代からつながっているという奇妙な縁を感じさせるようなときもあったりする。
そして何より、友人の「あいつ」しか知らないゲストのエピソードが語られる、という面白みもある。学生時代、ゲストがどんな人物だったのか、それを本人ではなく、実際に間近で見てきた人から聞けるのは、めったにない。
そうした話には、また違った意味の面白さも付随する。それは記憶の齟齬だ。ゲストが間違いない話として語ったことが、実は全然違うこともよくあるのだ。事実は見る角度で違うのはもちろんだが、人は自分が見たい方向でしか物事を見ないし、その時々の心境が如実に記憶を塗り替えてしまうということがあらわになる。そんな面白さも潜んでいる。
これは、「あいつ」をスタジオに呼ばず、自宅や職場で話を聞くというスタイルが功を奏しているのだろう。スタジオのような素人にとって緊張する場で、テレビで活躍している相手が目の前にいて口を挟んでくると、思うようには話せなくなってしまうもの。だが、慣れた場所でスタッフ相手なら、じっくりと話すことができるのだ。
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