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ベテラン海外ドラマライター・幕田千宏の「すごドラ!」

海外ドラマを牽引する売れっ子クリエーター! ライアン・マーフィの押さえておきたい代表作3選

 注目作は多々あれど、売れっ子クリエイターの原点という意味で押さえておきたいのが『NIP/TUCK』だ。『アメホラ』にしても、『アメクラ』にしても、この人の視点は基本ブラック。それは『glee/グリー』のような青春ドラマでも例外ではない。そうしたマーフィーのイジワルな視点が最大限に発揮されているのが本作なのだ。

 2人の美容整形外科医を主人公に、美にとらわれ、飽くなき欲望を抱く人々の姿を痛烈に皮肉った本作は、ほかのどのマーフィー作品よりエグ味たっぷり。患者も患者なら医者も医者で、誰も彼もが己の欲に溺れ、抜き差しならない状態に陥っていく。あくまで美容整形業界を舞台にした人間ドラマなのに、まるで犯罪ドラマを見ているかのような“悪”の魅力に満ちているが、一方で良くも悪くも欲に忠実という意味では1本筋が通っており、欲望に振り回される人たちの姿もいっそ清々しく思えるほど。舞台がマイアミというのもまた、強すぎる日差しが濃い影を生むように、完璧な外見の裏に隠された人間のダークサイドを表現するのに絶妙にマッチしていて小憎らしい。自分から遠いようでいて、どこか共感が潜むそのディープな人間模様に、後のマーフィー作品の原点がしっかりと見て取れるドラマだ。

●まくた・ちひろ
映画・海外ドラマライター。『日経エンタテインメント!海外ドラマSpecial』『ゲーム・オブ・スローンズ パーフェクト・ガイド』(日経BP社)、『海外ドラマTVガイド WATCH』(東京ニュース通信社)、『映画秘宝EXドラマ秘宝vol.2~マニアのための特濃ドラマガイド』(洋泉社)等に寄稿。Twitterアカウントは@charumin

最終更新:2017/06/10 16:00
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