トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 剛力彩芽『女囚セブン』でハマり役
ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

もうゴリ押しなんて言わせない!? 『女囚セブン』で剛力彩芽が獲得した、新たな“ハマり役”

もうゴリ押しなんて言わせない!? 『女囚セブン』で剛力彩芽が獲得した、新たなハマり役の画像1

『女囚セブン』(テレビ朝日系)に出演する剛力彩芽が神々しい。

 本作は、金曜23時15分から放送されている、女性刑務所を舞台にしたコメディタッチのドラマ。
 
 京都で働く芸鼓の神渡琴音(剛力彩芽)は、先輩の雪乃(寺川里奈)を殺害した罪で逮捕される。しかし、それは冤罪だった。自らの汚名を晴らし、真犯人を突き止めるために自ら進んで女子刑務所に入る琴音。

 雪乃は法務大臣の内藤裕次郎(高嶋政伸)の秘書・本郷(寿大聡)と付き合っており、彼らの悪事の数々を“黒革の手帳”に記録していた。

 内藤は“黒革の手帳”を奪うため、看守たちに操られた女囚を使って琴音を追い詰めようとするが、琴音は女囚たちを仲間につけて、内藤を追い詰めていく。

 脚本は西荻弓絵。『ケイゾク』や『SPEC』(ともにTBS系)といった堤幸彦演出のカルトミステリードラマで知られているが、近年のヒット作といえば、『女囚セブン』と同じ金曜ナイトドラマ枠で制作された政治コメディドラマ『民王』だろう。

『民王』は、笑いの中に政治ネタを盛り込んでいく手腕が実に巧みだったが、本作もコミカルな描写の中にゲス不倫、老人介護、待機児童、政治家の汚職などといった時事ネタが盛り込まれており、真実を隠ぺいしようとする権力に立ち向かう社会派ドラマとなっている。

 そんなコメディだか、シリアスだかわからない人を食った世界観と、剛力のたたずまいは、実に相性がいい。

 剛力が演じる琴音は寡黙で無表情のため、何を考えているかわからないミステリアスな芸妓だ。しかし、女囚が仕掛けてくる食事にゴキブリを入れるといったイジメを、鋭い勘と鍛え抜かれた体術で難なくかわしていく。

 毎回の見せ場は、安達祐実や山口紗弥加といった実力派女優が演じる女囚たちとの議論対決だ。琴音は京ことばでゆったりとしゃべりながら相手の心の傷をえぐり出していき、精神的に追い込んだ後、「罪は犯すやつが悪いんやない。犯させる奴が悪いんどす」と言って、女囚たちを救済していく。

 普通ならあり得ない、荒唐無稽なヒロインである。

 しかし、剛力が演じると、妙な実在感が生まれる。

 雑誌「Seventeen」(集英社)の専属モデルとして人気だった剛力彩芽は、 月9ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』(フジテレビ系)に出演以降、剛力という珍しい名字とショートカットの端正な顔立ちが注目され、女優として活躍するようになった。しかし、出演作が途切れることなく続いているため、ネットでは「ゴリ押しだ」というアンチの声が目立つ。

12
ページ上部へ戻る

配給映画