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お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!

お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像3以前よりよい車両になったというけれど、やはり路線バス。リクライニングもしないし狭い。

■椅子のグレードは高いけど、やっぱりキツい

 さて、乗車である。赤字のため廃止も危惧されるこの路線。観光向けの需要の拡大も図っているのか「168バスハイク乗車券」という割引き切符も販売中。2日間有効のこの乗車券を用いると、大和八木駅~新宮駅間6,190円が5,250円と大幅にディスカウントされるのである。

 そんな乗車券を手に、やってきたバスに乗車。乗客は10人ほど。いったい、このバスに乗ってどこに行くのだろうか、興味は尽きない。

 まず乗って安心したのは、椅子である。路線バスとはいえども、椅子はグレードアップされている。だからといって、乗り心地がよいわけではない。ずっと座っているとエコノミークラス症候群になりそうな、でも適度な狭さである。もし乗る場合には、脚を伸ばしやすい最後尾の座席を選ぶのが賢明だと思った。

 こうして発車したバスで流れる自動音声のアナウンスは、路線が公的支援によって維持されていることを説明し、乗車を呼びかける。

 長大な路線とはいえ、最初は一般の路線と大差はない。幾人かの乗客が短距離を乗っては降りていく。

 そんな路線の本格的な凄さが見えてくるのは、五條バスセンターでの休憩が終わってからである。ここから先、バスがずんずんと入っていくのは山の中。走っている路線は国道168号線と、国道ではあるものの急峻な道だ。

 時折、待避所に入って一般車両を先に通しながら、バスは山の中を進んでいく。紀ノ川水系(丹生川)と熊野川水系(十津川)の分水嶺となる天辻峠にさしかかれば、いよいよ「よくこんなところに道を通したな~」という雰囲気だ。

 今でこそ舗装されて整備された道になっているわけだが、かつての南朝勢力や幕末の志士たちも通ったこの道。よくもまあ、こんなところを進もうと思ったものだと歴史の深さが感じられてくる。

お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像4ここ発電所があったのだが洪水で流されて再建中なのだとか。発電所消滅とかにわかに信じがたい。

 そうして、バスがようやく五條市を超えて十津川村へと入っていくと、見えてくるのは巨大な土木工事が行われている光景だ。この沿線は2011年の大水害で甚大な被害を受けた地域。その復旧工事はいまだに続いている。途中、バスはスピードを緩め、運転手が「このあたりまで水が来た」などと説明をしながら進んでいく。

お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像5国道の改良工事が進んだ結果、峡谷に天空を結ぶ橋のようなものが次々と建設されている。

 この復旧工事にあたっては、新たな道路の建設も進んでいる。急峻な谷間の道に突然現れるのは、巨大な橋げた。頑丈な橋を建設し水害に耐えうるような高度に道を新しく作る方向で工事が進んでいるようだ。そのため、バスはグルグルと回りながら高規格の道路と、合間の集落とをゆきつ戻りつ進んでいく。

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