好奇心で“うっかり”PTA会長に!? 金髪&ヒゲ面のフリーライター・杉江松恋が語る「PTAとの上手な付き合い方」
#本 #インタビュー
2016年、一億総活躍国民会議に参加した菊池桃子が「もともと任意活動なのに、全員が参加するような雰囲気作りがなされている」と発言して以降、PTAをめぐる議論は活発になっている。これまで、漠然と「子どものため」と考えられていたPTAに対しては、ネットを中心に「時代遅れ」「無駄」という言葉が向けられ、その評判は芳しくない……。
ミステリを中心とした書評や解説などで活躍するフリーライターの杉江松恋氏は、2008~11年にかけて、子どもが通う小学校のPTA会長を3年間にわたって務め上げ、その奮闘記を『ある日うっかりPTA』(KADOKAWA)として上梓した。金髪でヒゲ面、「団体行動が嫌い」というフリーライターは、はたしてPTA会長という要職をきちんとこなすことができたのか? そして、そこで見たPTAの現実とは?
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――本書には「うっかり」PTA会長を引き受けてしまい、3年にわたって奮闘した杉江さんの勇姿が刻まれています。いったい、なぜ会長職を引き受けてしまったのでしょうか?
杉江松恋(以下、杉江) 会長になる以前は、小学校でボランティアの読み聞かせを行ったり、学童保育の父母会に参加していました。地域になじみたい、という気持ちからそういった活動をしていたんです。けれども、まさかPTA会長のような職務を務めるなんて考えてはいなかった。それまで、ほとんどPTA活動には関わっていなかったのに、突然電話が来て「会長を引き受けてもらえないか」ですからね……。
――抜擢人事ですね(笑)。
杉江 PTA会長になると忙殺され、仕事にも支障が出てしまうから、なりたがる人がほとんどいないんです。僕の場合は、本当に知識ゼロのPTA会長でした。だって、前会長から1時間電話でレクチャーを受けただけ。引き継ぎもなかったんですよ!
――会長の仕事は完全ボランティアであるだけでなく、子どもたちへの影響を考えてトレードマークだった金髪を切ることも迫られました。
杉江 「面白そう」というのが一番の理由です。もちろん、大変な仕事だろうという覚悟はありましたが、ライターとしての性分から「体を張ったら、面白い結果になるんじゃないか」と思ってしまうんです。
――職業病ですね(笑)。そもそも、知識ゼロの当時、PTAについてはどのようなイメージを持っていましたか?
杉江 僕が会長を務めた08年ごろは、世間的にも非常に浅い知識しか共有されておらず、漠然と「学校で子どものために何かをする」もしくは、「子どもに見せたくない番組」を選定してバラエティ番組にクレームをつけるといったイメージでした。今のように「任意加入」という情報も出回っていなかったため、なんの疑問もなくPTA会費を支払っていたんです。
――PTA会長に就任後は、毎日のように学校に足を運ぶような生活に変わってしまいました。
杉江 中でも4月は1年で一番忙しく、地域の中学校や幼稚園の入学式に出席したり、5月のPTA総会に向けた準備をしたりと、仕事は山ほどあります。午前中はPTA会長として、午後から夜までライターとしてという二重生活ですね。
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