ワンレン、ボティコンだけじゃない……JK、クールジャパンを生み出した「バブル」再考『東京バブルの正体』
2017/05/29 21:00
#本
また、コラムニストの中森明夫氏は83年から「漫画ブリッコ」(白夜書房)誌上で「おたくの研究」の連載を開始。89年に宮崎勤による連続幼女誘拐殺人事件が起きると、その存在が社会的に可視化されることとなる。だが、そんな陰惨な事件によって注目を浴びたオタクという存在に同調するように、事件の翌年に行われたコミケの来場者数はそれまでの10万人の倍以上となる23万人を記録した。ここから、「クールジャパン」と呼ばれる現在の施策が生み出されていることは言うまでもない。冷笑とともに語られるバブルは、現在まで続くさまざまな文化の揺籃期でもあったのだ。
バブル期の雑誌の数々を読みあさり、昼間氏が見いだしたのは「現代には存在しない圧倒的な開放感と自由」だったと語る。
「現代の人々が、バブル時代のうらやましさとして挙げるのは、いつも会社で経費が使い放題とか、就職活動が楽勝といった安易な部分ばかりだ。しかし、現代人が本当にうらやましいと思うことは、なんの抑圧も感じず、誰の目も気にすることのない世界が広がっていたことなのではないだろうか」
軽薄なカルチャーと経済的な熱狂が終わると、「80年代はスカだった」と言われ、白い目が向けられた。しかし、SNSで炎上が相次ぎ、人の目を気にしながら生きる現代から30年前に目を向ければ、そこには「スカ」というだけでは語ることのできない人々の姿が浮かび上がってくることだろう。
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最終更新:2017/05/29 21:00
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