『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第8話 待望の神曲が降臨! そして極悪鳥ふたたび……
#テレビ東京 #どらまっ子 #長野辰次 #SRサイタマノラッパー
「SHO-GUNG」とトーコの新しい旅立ちだった。赤鬼(市オオミヤ)と「五福星」に別れを告げるTOMとMIGHTY。「最後に決めるのは自分自身」という赤鬼の言葉にうなずいてみせるIKKU。トーコは青鬼(野村周平)にコクろうとするが、すでに2人は以心伝心の仲だった。「何かに迷ったらいつでも来てください。美味しい料理をまた」と青鬼から先に言われてしまう。トーコの恋は実らなかった。でも、料理の道に進む決心がつき、心は晴れやかだった。そして、山門をくぐるIKKUの目には、タケダ住職&タケダ先輩(上鈴木伯周&上鈴木タカヒロ)が2人並んで自分たちのことを見送ってくれているように感じられた。
川崎に向かって爆走するカブラギ号に、兄タケダ先輩が作ってくれた新曲が流れる。生きるということは、死ぬまで悩み続けるということ。悩みながら、傷つきながらも、前へ進んでいこう。そんなポジティブな気分にさせてくれる明るいミディアムテンポの曲だった。新曲を聴きながら、クラブチッタで披露するリリックをそれぞれノートにしたためる「SHO-GUNG」。そして料理の勉強をしたいとカブラギに伝えるトーコ。音楽を聴いても、決してお腹は満たされない。でも音楽はコドクな人間の心を癒し、迷っている人間の背中を力強く押してくれる。『マイクの細道』のシリーズを通して、サイコーにハッピーな時間が流れていく。
このままハッピー気分で終わればいいのにと思うけど、そうはしないのが入江悠監督であり、『SRサイタマノラッパー』の世界。喜びと哀しみはいつも背中合わせの関係だ。待望の新曲は手に入ったが、まだIKKUの問題は解決されていない。ドライブインで昼食を兼ねた緊急会議が開かれ、「IKKUはライブを優先するべき」がMIGHTYとカブラギの2票、「IKKUは妹の結婚式に出るべき」はトーコとTOMという結果に。人と争うことが苦手だったはずのTOMがMIGHTYとケンカを始めてしまう。
TOM「家族のほうが俺らより歴史がなげぇだろ。生まれてから死ぬまでなんだからさ」
いつも当たり前のことしか言わない退屈な男・TOMだが、当たり前すぎてこの言葉にはハッとさせられる。このままでは自分の家族だけでなく、「SHO-GUNG」までバラバラになってしまう。IKKUは「俺、やっぱり行くよライブ」という言葉で、その場を収めるしかなかった。
栃木県日光を通過するカブラギ号に、危うく轢かれそうになる2人組の男。『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12)でIKKU、TOMとコラボした「征夷大将軍」だ。「征夷大将軍」はもう解散したけど、残ったメンバーで地元の名産ギョーザをネタにしたラップづくりに励んでいた。走行中の車には気をつけて、頑張ってほしい。
トーコがスマホで見つけた調理専門学校を見学するため、一行は『山田孝之の東京都北区赤羽』(テレビ東京系)でおなじみ赤羽で途中下車することに。ここでIKKUのスマホに着信音が。妹の茉美からだ。「ライブがあるから、結婚式には出られない」とIKKUが告げると、「もういい。勝手にすればッ」と号泣する茉美。自分よりしっかりしていると思っていた妹だったが、子どもの頃のように自分のせいで泣き出してしまった。電話口で泣く女の声ほど、男の胸を切り裂くものはない。ライブまであと2日だが、まだIKKUは迷っている。
そして“魔境”赤羽に現われたのは、極悪ヒップホップグループの「極悪鳥」。『SR3』でMIGHTYが起こした傷害事件が原因で「極悪鳥」もまた解散に追い込まれ、中心メンバーだった大河(橘輝)や海原(板橋駿谷)は闇金系裏ビジネスに従事して生き延びていた。ひとりでタバコを吸っていたMIGHTYは、大河と海原に睨まれて、金縛り状態に。ボコられた上に拉致られてしまう。
全11話で、最終回は川崎クラブチッタでのライブ編になるだろうから、残り9話と10話で、MIGHTY奪回作戦とIKKUの家族問題を同時に解決しなくてはならない。牧歌的ムードの音楽ロードムービーから、急展開のサスペンスドラマへ変調していく『マイクの細道』。残りのエピソードから目が離せない!
(文=長野辰次)
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