【インタビュー】BOYS AND MEN・田中俊介も惚れた “狂気があるのに美しい”ダークBL映画『ダブルミンツ』の魅力
今ほどBLが市民権を得る前から、腐女子の熱い支持を集めてきたマンガ家・中村明日美子。2016年に劇場アニメ化もされた『同級生』(茜新社)や、長期シリーズ『Jの総て』(太田出版)といった代表作で知られている。そして中村明日美子の作品史上、最大の問題作とされているのが『ダブルミンツ』(茜新社)だ。
今から10年前の2007〜08年にかけて連載された同作は、高校時代に出会った同姓同名の同級生男子2人を主人公にしたBLマンガ。ごく普通の会社員・壱河光夫(ミツオ)の元に、かつての同級生・市川光央(みつお)から突然電話がかかってくる。
「女を殺した。今すぐ来い――」
ミツオは、冷酷な“みつお”の下僕として高校生活を過ごした。その記憶に抗えず、ミツオは“みつお”の元に向かい、久しぶりの再会を果たす。共犯者となった二人は頻繁に会うようになり、高校時代の主従関係とも違う、奇妙な関係を築きながら、共にどんどん道を踏み外してゆく――。冒頭から予感される通り、暴力や犯罪があふれ、ヤクザやチンピラが次々登場する、異色のダークBLとして当時話題をさらったのだった。
そして今年1月、『ダブルミンツ』の実写映画化が発表された。マンガ原作モノは批判されがちな現在、特に微妙なニュアンスが重要視されるBL作品とあって、「大丈夫なのか……?」と原作ファンからは不安の声も上がっていた。発表されたキャストは、名古屋を拠点に活躍するエンターテイメントグループ「BOYS AND MEN」の肉体派・田中俊介が“みつお”役、映画『東京プレイボーイクラブ』(11年)や『ミュージアム』(16年)などで近年注目度を上げている淵上泰史が“ミツオ”役。須賀健太や高橋和也、小木茂光といった経験豊富な面々が脇を固める布陣となった。
こうしたキャスティングに加えて、映画『下衆の愛』(15年)や『家族ごっこ』(15年)などの話題作を手掛けた内田英治監督が「原作に惚れ込んで映画化を直訴した」というエピソードも相まって、『ダブルミンツ』実写化への不安視は徐々に沈静化。そして5月11日に行われた完成披露試写後には、原作ファン・キャストファン双方から絶賛の声が多く上がったのだった。
今回本サイトでは、“みつお”を演じたBOYS AND MEN・田中俊介さんにインタビューを敢行。今年の夏冬公開の『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』への出演も発表され、役者としても注目度の高まる田中さんが、暴力と共依存と狂気の愛に満ちた『ダブルミンツ』を主演のひとりとしてどう捉えたのか、余すところなく聞いてみた。
■「知らなかった世界がここにあった」一瞬で原作のファンに
――まずは、原作を読んだときの率直な感想を教えてください。
田中俊介(以下、田中) いわゆるボーイズラブのマンガを読むのは初めてで、まずは本当に衝撃を受けました。「なんて面白い作品なんだろう」って。
――そちらの「衝撃」だったんですね。もともと「ボーイズラブ」という言葉はご存知でしたか?
田中 はい、知ってはいました。このお話をいただいてから中村明日美子先生のほかの作品も読んで、特有の美しさにすごく惹かれました。特に『ダブルミンツ』は、ものすごく狂気があるのに美しさを放っているものがあって、そこに完全に惚れましたね。僕の知らなかった世界がここにあった、なんて面白くて魅力的な作品なんだろう、と一瞬でファンになりました。
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