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日刊サイゾー トップ > その他  > ボイメン・田中俊介が語るBL映画『ダブルミンツ』の魅力
【おたぽる】

【インタビュー】BOYS AND MEN・田中俊介も惚れた “狂気があるのに美しい”ダークBL映画『ダブルミンツ』の魅力

――今回の“みつお”役での起用については、オーディションではなく、内田英治監督から田中さんに直接オファーがあったということですが、なぜ自分だったと思いますか?
 
田中 普段はBOYS AND MENというグループで歌って踊ってという活動をメインにしているんですが、僕はずっとお芝居もやりたかったんです。内田監督とは3〜4年ほど前にドラマの現場で面識ができて、そのときにもそういう話をしていたので、気持ちを汲んでくださったのかな、と思っています。それから監督も仰っていたのは、「田中くんは“みつお”に似ている」と。

――確かに原作ファンとしても、映画を拝見して、最初に田中さんの“みつお”が登場するシーンで、「“みつお”だ!」と思いました。

田中 それは本当にうれしいですね。そういう意味でも、運命的というか、運が良かったというか。

――では、かなり暴力的なボーイズラブ作品ですが、引き受けるにあたって抵抗はまったくなかった?

田中 そうですね。僕は本当にこの作品がすごく面白いと思って、市川光央を演じられるということがうれしかったのですぐ「やりたいです」と答えました。逆に返事が早すぎて、マネージャーや監督から「本当に大丈夫?」と聞かれました(笑)。

――田中さんはクランクインの1年前から出演が決まっていたそうですね。どんな役作りをされましたか?

【インタビュー】BOYS AND MEN・田中俊介も惚れた 狂気があるのに美しいダークBL映画『ダブルミンツ』の魅力の画像5

田中 時間をかけて体を作りました。もともと僕はすごく体を鍛えるタイプで筋肉がゴリゴリだったから、「これは全然“みつお”じゃない」と思って有酸素運動と食事制限で体重を14キロくらい落としました。今まで大事に育ててきた筋肉も、この男だったらいらないな、と。

 それから、この作品の特徴である同性愛のこと、共依存のこと、あとはギリシャ神話のアンドロギュヌスのことを勉強しました。男と女が合わさった2つの頭を持つ生き物、それが半分にわけられてしまったから自分の片割れを探しているんだという哲学的な部分ですね。そういうものをちゃんと勉強して、自分の中に落とし込む作業を繰り返しました。同性愛についても、出演のお話をいただいた時点ではまだ100%理解はできていなかったんです。でも「好きになる相手がたまたま同性だっただけで、異性じゃないといけないということはないんだ」というふうに、自分の中で偏見や壁みたいなものが一切なくなるところまでたどり着けました。

■闇か光か? 主演者も捉え方の揺らぐ『ダブルミンツ』の魅力

――原作者の中村明日美子さんから、演じるに当たってのアドバイスや要望は何かありましたか?

田中 撮影に入る前は、中村先生とお会いする機会がなかったんです。でも内田監督が2年間くらいかけて先生と脚本を話し合って、実写化に当たって互いの持っているイメージを固めていたので、監督には撮影前にいろいろ言われました。まず一番は、「お芝居をしないでくれ」ということですね。「お前が経験してきたことから感情を引っ張り出す作業をしてほしい」と。悲しかったときや腹が立ったときの気持ちを引っ張り出して、それを表現する。そこから“みつお”の考え方やキャラクター像にすり寄せていく作業をしろ、と言われていました。

【インタビュー】BOYS AND MEN・田中俊介も惚れた 狂気があるのに美しいダークBL映画『ダブルミンツ』の魅力の画像6

――“みつお”のキャラクターは狂気的だったり刹那的だったり、暴力性をはらんでいて、自分の経験とすり合わせるのは難しそうに思いますが……。

田中 正直最初の頃は、考えても考えても、市川光央がどういう男なのかよくわからなかったです。だから原作と脚本をひたすら読み込んでいく中で、自分がなぜもうひとりのイチカワミツオを求めてしまうのか、なぜ彼と一緒にいてどこに向かおうとしているのか、なんでチンピラをやっているのかさえ、市川光央自身もよくわかってないんだ、というところに落ち着きました。

 それと、最初は、”みつお”のカリスマ的なところをミツオが崇拝していて、そのせいで共依存みたいな関係になっているのかな、というイメージが強かったんです。でも監督と話していくうちに、「“みつお”はカリスマなんかじゃなくて、弱い男なんだ」と言われて。僕はその弱さを隠してしまう“みつお”を自分の中に作っていたんですが、泣くときは泣くし叫ぶときは叫ぶような人間らしさ、弱さをもっと表現してほしいということだったんですね。だから、自分でイメージしていたよりも弱さを意識して撮影に挑みました。

――5月11日に行われた完成披露試写後のSNSを見ると、観た方がみなさんすごく映画『ダブルミンツ』に魅了されているように感じました。そうした反応はご覧になっていますか?

田中 はい。東京と名古屋で試写があって、終わった後に監督たちとご飯を食べに行って、そのときに監督が初めてエゴサーチを学んだんですね(笑)。それで試写会の反応をみんなで見ました。僕は正直怖くて自分ではできなかったんですが、本当にいい評判が聞こえてきてうれしかったです。原作ファンの方々も「面白かった」と仰ってくれているし、BOYS AND MENのファンの方も「BLの世界のことは全然知らなかったけど、初めて観て、今まであった抵抗がなくなりました」って言ってくれて。男性同士の間に愛を感じたし、美しいもの、光を放っているものを感じたという人がかなりいらっしゃいました。一方で、これが『ダブルミンツ』の魅力でもあると思うんですけど、「私は本当に“闇”に見えました」と言う人もいて。

 これは僕もそうなんですが、「二人が愛で結ばれている」と思うときもあれば、「いや、愛じゃない、依存だ。この先二人はどんどん闇に落ちていくんじゃないか」と感じるときもあるんです。撮影が終わったときには「純愛モノだな」と思ったんですよ。でも役作りの段階では「どっちなんだ?」っていろいろ考えが入れ替わって、試写で見たときには“闇”のほうを強く感じました。二人の抱えている苦しみの部分がガツンと来て、観ていて泣きそうになるくらい締め付けられて。観る時々で捉え方が本当に変わるのも、この作品の魅力だと思います。

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