自己最低7.5%も折り込み済み!? 『貴族探偵』第6話で、なぜフジテレビは視聴率を“捨てた”のか
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料理の例をまだ続けるならば、今回は「フジテレビがカレーをぶかっけてきた」と感じたのです。別に不味いカレーじゃないし、むしろ高級な「帝国ホテルのカレー」っぽいカレーなんですが(食べたことはない)、明らかに『貴族探偵』はこの第6話で、「麻耶色のドラマ」から「フジテレビ色のドラマ」に舵を切ったと感じました。
思えば、なぜ1話完結で十分に楽しかったドラマを、中盤である5・6話で2話構成にしてきたのか。5話を見なければ6話はつまらないし、当然、視聴率は落ちる。視聴率を捨ててまで、あえて、なぜそうしたのか。
それはフジテレビが、この『貴族探偵』を単に原作モノの翻訳ドラマとして作るのではなく、あくまで「1クールの連続ドラマ」として成立させようとした結果なのだと思います。
第1話からイマジナリーな存在として示唆されてきた女探偵の師匠・喜多見切子(井川遥)が、今回初めて「すでに死んでいる」と明示されました。同時に、貴族探偵が彼女を「殺した」という過去もほのめかされた。
これは、原作に建て増しされた設定ではありません。原作そのものを底上げして、土台の部分に差し込まれたものです。少しずつ明らかにされてきたこの土台が、今回あらわになったことで、次回以降の『貴族探偵』は、これまでとは段違いに天井高の高い作品として描かれていくことになります。単話で楽しい『貴族探偵』が、最終話に向かって走り出すタイミングが、この5・6話だったということです。1話でも終われる事件を、2話分かけて解決すると同時に、最終回に向けて「床板を外すための時間」が必要だったということです。
単話でこれだけ楽しければ、最終回だけちょっと複雑な事件を持ってきて誰か殉職でもさせりゃ、それはそれでオッケーなドラマだったわけですが、フジテレビは「連続ドラマとしても面白くしてやる」という面倒な決意を、2時間使って宣言したわけです。
もちろん、今後の貴族探偵と女探偵をめぐる成り行きそのものも楽しみですが、フジテレビ制作陣の“クリエイターとしての戦い”というリアルなドラマとしても「こいつら、どこまでやる気なんだ」という期待に満ちた作品になってきました。この戦い、「どらまっ子」を名乗る者として、見守らないわけにはいきません。
いやー、「どこまでホメる気なんだ」って感じですね。ちょっと書いてて恥ずかしいよ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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