『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第7話 セーフティーネット/家族の絆が断てないIKKU
#テレビ東京 #どらまっ子 #長野辰次 #SRサイタマノラッパー
30歳をすぎた男たちが定職に就かずに、自分たちが唯一熱くなれたヒップホップ道を極めんと東北を旅する『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』。川崎クラブチッタでのライブステージまで、残り3日間というカウントダウン状態を迎え、第7話は「SHO-GUNG」の中心メンバーであるIKKU(駒木根隆介)が「おいおい、そりゃねぇだろ~!」と全視聴者がツッコミを入れたくなる迷いを見せ始めた。単にドラマの後半戦を盛り上げるためのハードルではなく、IKKUのアイデンティティーに関わる重要な問題らしい。
前回に続いて、福島県猪苗代湖近くにある世にも珍しいヒップホップ寺「竹田寺」で修業を始めたIKKU、TOM(水澤紳吾)、MIGHTY(奥野瑛太)の3人。これまでグウタラ生活を送ってきた3人にとっては、朝早い寺での規則正しい生活はかなりしんどい。『SRサイタマノラッパー』(09)では東京に向かって走るトラックをBB弾で撃つという、狂気をはらんでいたTOMだったが、修業僧から水鉄砲で起こされるとは感慨深い。
このシーンを見ながら、近年の戸塚ヨットスクールの内情を追った東海テレビ製作のドキュメンタリー映画『平成ジレンマ』(11)をふと思い出した。かつては体罰指導で不登校児を更生させたことで話題になった戸塚ヨットスクールだが、傷害致死事件が起きて戸塚校長が刑務所送りになって以降は、体罰のない緩やかな指導スタイルに変わった。今でも高齢になった親がニートの子どもの将来を心配して、安くないスクール料を払って預けにくるケースが絶えない。ところが、預けられた生徒(いい大人)は起床時間や消灯時間がきちんと決まった寮での集団生活に耐えられずに逃げ出してしまう。IKKUたちは大丈夫だろうか。
1週間の修業に耐えれば、「竹田寺」の住職である兄タケダ先輩(上鈴木伯周)が新曲を作ってくれることから、ここから逃げ出すわけにはいかない。いやいやながら小雨の降る中、草刈りを始めるIKKUたち。そんな3人に対して、見張っていた戸塚校長が、いや赤鬼(市オオミヤ)が「違うっ!!」と喝を入れる。赤鬼役の市オオミヤさん、入江悠監督が撮った『ネオ・ウルトラQ』(WOWOW)の第11話「アルゴス・デモクラシー」ではテロリスト役で出てましたね。
赤鬼「お前らのラップには詩心がない。働きながら、詩を詠め。詩の世界は広く深い。見えるもの、見えないもの、すべてが対象だ。感じたことを言葉にしてみろ」
いかつい顔して、赤鬼はポエマーだった。赤鬼の言葉を素直に受け入れ、草刈りを再開するMIGHTYたち。
「草を刈らないとさッ、草を刈らないとさッ、イヤ~♪」
舶来の音楽だったヒップホップが、日本語の労働歌として地に根を張ったものへと変わっていく。「SHO-GUNG」の3人は新しいステージへの入口をようやく見つけたようだ。
その頃、温泉に入って元気を取り戻したカブラギ(皆川猿時)はトーコ(山本舞香)を連れて「竹田寺」へ到着。なぜかスケボーを手にして立っていた青鬼(野村周平)に「カブラギは失恋を乗り越えて、ひと回り大きな男になりました。福島での仕事を片付けてから迎えにくると3人に伝えてください」と伝言を頼む。青鬼がイケメンだったことから、トーコはカブラギと別れ、「竹田寺」に残ることに。本当にいいのか、竹田寺? こんなピチピチの女の子を禁欲生活中の修業僧たちの群れに放り込んだら、阿鼻叫喚地獄になるのではないか? それもまた修業の一環なのか? スケボーは「スケベボーズ」の隠語なのか?
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