ホラー要素にアクション、人間ドラマありの新作CGアニメ映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』スタッフインタビュー
■クリスを登場させるつもりはなかった!?
――歴代主人公の中でも人気の高いクリスとレベッカがCG映画としては初登場、これまでの2作で主人公を務めてきたレオンも続投し、クリスと共闘するということで、ファンの期待も高まっていると思います。各キャラクターを登場させるにあたり苦労した点は?
小林 僕は最初から「レオンは絶対出して!」と言っていました。そこから「クリスを出したい」っていう話も出てきて。実は、僕はクリスの登場にはそんなに乗り気ではなかったんです。ゲームの『バイオ6』でも、クリスを出す気は最初からなかったんですが、ディレクターの佐々木(栄一郎)が「銃を(お互いに構えて)“ガシャッ”ってやるシーンはやりたいので出したい」と言ってきて、「これはカッコいいからやろう」という話になってゲームに出したんです。今回も「ゲーム1作目の主人公で“原点回帰”だから」ということで登場が決まりました。
女性キャラクターに関しては、CG映画だと1作目にクレア・レッドフィールド、2作目にエイダ・ウォンが出ているので、同じキャラクターは避けようと。15年に上演された舞台『BIOHAZARD THE STAGE』では久しぶりに大人になったレベッカを登場させたので、その流れでレベッカの登場が決まったんです。ジル・バレンタインを出したいという話もあったんですが、設定が複雑なので今回は見送らせてもらいました。クリスとレオンはダブル主役という位置づけにしているので、2人のバランスには常に気にしましたね。
清水 『バイオ』ファンの方には、クリスとレオン、2人の組み合わせによる絶妙なコンビネーションも気に入ってもらえると思います。
小林 ゲームの『バイオハザード7 レジデント イービル』にもクリスが出ているんですけど、それは一切公表しなかったんですよね。「『バイオ7』はオリジナルキャラのみで、(お馴染みのキャラは)誰も出ませんよ」と。
辻本 そういう意味で言うと、『バイオ5』と『バイオ6』をプレイした人は期待して見てくれるのかな。
小林 そうですね、『バイオ6』の続きとして見てもらえれば。
――クリスとレオンの2人が協力して戦うアクションシーンは大きな見どころですね。
小林 ほかにも、各キャラクターのドラマもぜひ見てほしいですね。3人が初めて会うシーンで、飲んだくれているレオンに対してクリスが噛み付くシーンとか。
辻本 そのシーンにこだわったのは清水さんですよね。
清水 カッコいいだけじゃなく、母性本能をくすぐるというか、女性でも拠り所になるようなところが大事なんです。それにCGキャラとは言え、絵空事で済まない妙なリアリティも深めたいので、長いこと戦い続けて「これから世の中どうなるんだ」「俺は何の為に」といった存在意義のジレンマがクリスやレオン、レベッカにも個々にあるべきですし、それに加えて今回初めて出てくるグレン・アリアスという人物の背景に対しても「自分もこうなっていたかもしれない」という背景で同調した悲哀を感じさせたかった。
歳をとるにつれて涙もろくなるようなダメで弱い男の一面を、色気も含めて出したいなと。そこは小林さんに許されたので(笑)。クリスが落ち込むという案も出ましたが、「それはもうやってる」ということで……。
小林 『バイオ6』で、すでにやっているので(笑)。
清水 「こいつまた落ち込んでるのかよ」と受け取られてしまうのはまずいので、その役どころは今回はレオンに。ホラー監修としては、3人が初めて会うシーンでは、2人を結びつけるレベッカのちょっとした叱咤など、人間臭さを出したいなというのがありました。ホラー監修なのになぜか(笑)。
辻本 もうドラマ監修ですよね(笑)。ただ、清水さんとお話をする中で、「1本の映画としてアクションとホラーばかりに傾倒していても成り立たないから、ドラマもちゃんと見せたいよね」という意識はお互いにあって。そういう方向でアドバイスをもらえたのはすごく良かったですね。
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