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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 登山家・野口健のテント村支援
『震災が起きた後で死なないために』発売記念インタビュー

「ルールは破る」登山家・野口健が提唱する、避難所に“テント村”という選択肢

「ルールは破る」登山家・野口健が提唱する、避難所に「テント村」という選択肢の画像5

――とはいえ、テント村も総合運動公園の指定管理者の管轄下にあったわけで、ルールには従わないといけないですよね?

野口 それはそうなんですけど……そうも言ってられない。そういう意味では、彼らとの対立は絶えずありましたね。「早く出てけ」とか言われてました。

――1カ月半、ずっと?

野口 ほぼですね。最後の最後で、彼らも態度を軟化させてくれましたけどね。大変でした。たとえば、タープは許可は出なかったんです。最初テントだけだったんですが、日陰がないから日中は暑くて、熱中症になってしまう。でもタープがあれば、メッシュなので風が通るし、その分、スペースもできる。なぜ彼らが許可を出さなかったかといえば、「風でタープが飛んで車にぶつかって傷がついたらどうするんですか?」って。そんなの知りませんよ! それはそのとき考えますよ。でも、そういうことを大真面目に言ってくるんですよ。だから土木業者の方に来てもらって鉄筋とか打ちまくって、ドリルで穴開けまくってビス打って、土のう置いて、絶対飛ばないようにしました。グラウンドは亀裂だらけでしたし、人工芝の下はコンクリなのでペグは入らないんですよ。

――すごい執念ですね(笑)。

野口 いま振り返ってみると、指定管理者の彼らも、総社市っていう馴染みのない自治体と訳のわからない登山家が来て、600人の命を預かるなんて、本当にできるのか? って疑心暗鬼だったと思いますよ。だから益城町の町長が許可しても、彼らが体を張って阻止しようとしたのはわからなくもない。けれども、そういう状況じゃないですからね。だって、車中泊よりはテントのほうがいいし。こういうときって、リスクばかり考えていたら何もできないじゃないですか。メインアリーナの天井が崩落して避難スペースは不足しているし、やらなきゃならない状況だったんです。ただこれができたのも、総社市との連携ですよね。僕だけじゃ、できなかった。

――片岡市長の判断力、行動力には、目を見張るものがありますよね。

野口 いい意味で、ケンカもできるしね(笑)。片岡市長が「やれ」と言ったら、職員はそれに従う。指定管理者からいろいろ言われたときに、片岡市長に電話で「公平性がどうのこうのって問題になってます」って話したら、「野口さん、行政っていうのは、みんなそう言うんです。でも、こういう有事のときはそんなの関係ない。私は自分の職員に対しては『有事のときはルールを無視しろ』『破れ』と言っているからね」と。「ルール破りましょう」って言うから、「そうしましょう」って。だから、益城町からしたら、とんでもないやつらですよ。

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