消えた大阪ローカルドリンク「キューピット」を追え!
#スズキナオ #勝手にしらべ隊
少し離れた大阪吹田市にも「キューピット」を出す店があると知り、足を運んでみた。吹田駅から徒歩5分ほどの場所にある「蘭豆」が、そのお店である。
ドアを開けると店内には静かにジャズが流れ、こちらもまた良い雰囲気。
“「キューピット」を出す店は、どこも昔ながらの憩いの喫茶店である”という法則が成り立ちそうだ。
メニューには、ちゃんと「キューピット」の名が。
オーダーしてみると、こちらも「アメリカン」同様、カルピスとコーラがあらかじめ混ぜてあるスタイルで、輪切りのレモンが添えられている。
マスターが、このお店でキューピットを出すことになったきっかけについて教えてくださった。
マスターが中学生の頃(1970年代)、大阪・梅田に「キューピット」という名前のロック喫茶があったという。今では複合商業施設「HEP FIVE」が立っているエリアにあったそうで、当時の若者にとっては、そのお店に行くのが相当オシャレな行為だったらしい。
「レッド・ツェッペリン」や「ディープ・パープル」といったバンドの奏でる新しい音楽が大音量で流れるその店で、店名を冠したドリンクとして提供されていたのが「キューピット」だという。マスターいわく、おそらくその店こそがキューピットの発祥の店なのでは、とのこと。
ちなみに、そこで出していた「キューピット」にはレモンの輪切りに加えてサクランボが載っていたそうで、恋人たちが「キューピット」を飲んでは、サクランボの茎を口の中で結んで遊んだりしていたというから、なんとも甘酸っぱい青春ドリンクである!
ロック喫茶・キューピットは1980年代初頭までは存在していたようだが、その後、閉店してしまった。マスターは当時の懐かしい味わいを再現しようと、30年ほど前からこの店のメニューに加えているという。マスターと同様に、当時ロック喫茶キューピットに入り浸っていた若者から波及する形で周囲の喫茶店に広まっていったのかもしれない。
「これって、家でも再現できますか?」と聞いてみたところ、「できますよ! 混ぜるだけですからね(笑)」とのこと。「ただまあ、その配合がうちの店は絶妙だと、そういうことにしておいてください!」とおっしゃる優しいマスターであった。
そんなわけで早速、家に帰って「キューピット」を自作してみることにした。コーラとカルピスとレモン、あとは氷を用意するだけ。
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