おかしくなっちゃった!? NHKらしくないトーク番組『ねほりんぱほりん』が証明した“人間のおもしろさ”
#テレビ #インタビュー #NHK
藤江 先のことなので、私たちもはっきり言えないんですけど、準備はしてます。
――「尖りすぎ」「NHKらしくない」などSNSの反響がありますが、現場では、どのように捉えていますか?
藤江 NHKではナンパ塾に通う人や、偽装キラキラ女子みたいな、そういう人たちを取り上げること自体が、あんまりないんですね。取り上げるテーマがNHKらしくないという意味で、NHK内の人からちょっと変わっているね、攻めてるねと言われることはあります。でも、番組としては、人間にはいろんな人がいて、全然どんな人かわからないような人や自分とは遠い世界だろうなと思ったような人でも話を聞いてみれば、共通点や、私と近いじゃん! みたいなことがあったり、悪そうだなと思われている人でも、愛おしいところとか憎めないところとか、いろんな部分があって、そういうのも含めて“人間って面白い”って部分を打ち出しています。それについては、大人のための教養番組として、NHKが本来やることの中からそんなに外れてないのではと個人的に思っています。だから、尖っている部分とそうでない部分と両方ある。でも、自分たちとしては、普遍的なものにつながると信じてやっているし、ただ、それが知りたいからやっているというスタンスです。
――視聴率を狙ってないということですが。
藤江 最終的な目標が視聴率じゃないんです。それよりも少数の人に深く刺さるコンテンツ。「こんなのあったよ」って、ざわざわしてもらうことを目指しています。そういったことがネットニュースになって、番組を知って見てくれる人が増えることになれば、もちろんいいんですけど。
――テーマはどのように決めているんですか?
藤江 基本的にはその本人に出演してもらって、その人の人生について話してもらうんです。人の噂話を顔を隠してやると、なんでも言えちゃうので、そうではなくて当事者に“自分の話”をしてもらうのが大きなポイント。その上で、先方に断られることがなければ、取材をします。例えば、元犯罪者のように、その人を出すことで誰かが傷つくかもしれないテーマは、今は避けてはいます。
――ぶっちゃけ、リサーチめちゃくちゃ大変ですよね?
藤江 めちゃくちゃ大変です(笑)。番組のスタートから30ネタくらいを並行して調べて、やっている途中でおもしろいなって思ったネタは、どんどん足して、足して。この人、主人公にできるなって人が見つかった順で放送しています。本当、自転車操業です(笑)。番組の終わりに「人間っておもしろい」ってテロップが出るんですけど、それが番組で一番大事にしていることで、この人の話を聞けば、「人間っておもしろい」ということが描けるなっていう確信が担当のディレクターの中で持てたら、収録をする流れです。
――放送を見た人がSNSを、逆にSNSで番組を知った人が放送を……といった、SNSと番組で補完されるような構成だと思います。そういった視聴者の導線って、考えているんでしょうか。
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