群雄割拠の土日深夜スポーツ番組 王者・上田晋也に挑むピース又吉&ビビる大木に「足りないもの」
#スポーツ #熱血!スポーツ野郎
土・日の深夜といえば、スポーツニュース番組の最激戦区だ。民放各局では昨年度からずっと、下記4番組がほぼ同時間帯でしのぎを削っている。
『Going! Sports&News』(日本テレビ系/土・日:23時55分~)
『S☆1』(TBS系/土:24時30分~、日:24時~)
『追跡LIVE! SPORTSウォッチャー』(テレビ東京系/土:23時〜、日:22時54分~)
『スポーツLIFE HERO’S』(フジテレビ系/土:24時35分~、日:23時15分~)
この春、改編期に合わせて4者4様の衣替えを済ませた。それぞれの変化と狙いを見ていきたい。
■タレントを排したTBS、あくまでもタレントで攻めるテレ東
今回の改編期に合わせ、最も様相が変わったのがTBS『S☆1』だ。爆笑問題の田中裕二、小島瑠璃子のMC2人が卒業し、伊藤隆佑アナと上村彩子アナ、局アナだけの進行に切り替わった。
一見すると、予算削減? 規模縮小? と感じてしまうが、リニューアル初週は二夜連続でイチローに独占インタビュー。企画・構成は、イチローに関する著書も多いスポーツライター・石田雄太とあって、掘り下げ方も独自の視点も、実に素晴らしかった。
第一夜は「43歳の衰えぬ体」。第二夜が「常識を超えた打撃」。
(周囲からの「年齢による衰えがくるはず」という言葉に対して)
「『そうであってほしい』という解釈ですよね。これから僕の絶頂期が来るって、どうして考えられないんだろう」
(パワーに依存しない体作りについて聞かれ)
「随分遠回りはしましたけど、随分無駄なことはしましたけど、やっぱりそうなんだ、って」
と、イチロー節も全開だった。
2週目はマスターズ中継のために短縮放送となったが、1週目の濃度がこのまま続くのかはまだ読めない。ただ、単なる予算削減ではなく、タレントのギャラ分で良質な取材が増えるのならば、その狙いは大歓迎だ。
一方で、あくまでもタレントによる番組作りを進めているのがテレ東の『SPORTSウォッチャー』だ。これまではピースの2人がMCを務めていたが、ニューヨークに渡る(予定の)綾部祐二に代わって、ビビる大木が新MCに加わった。
ビビる大木といえば筋金入りの巨人ファンだが、初登場となった8・9日の放送でも、やはりというか案の定というか、メイン企画は巨人について。特に9日の放送では、ゲストに阪神ファンでおなじみの千秋を招いて「巨人・阪神戦」の特集を組むなど、MCありきの番組構成になっていた感は否めない。
なお、9日のスポーツ番組で、トップニュースで「体操・内村航平10連覇」を扱わなかったのは『SPORTSウォッチャー』のみ。スポーツニュースの主役はあくまでも「スポーツの結果」か「アスリート」であるべきはずなのだが……。新MCというかせに縛られた番組作りが今後どうなっていくのか、心配な点ではある。
同番組では、『やべっちF.C.』(テレビ朝日系)以降、スポーツ番組でもすっかりおなじみになったワイプ芸も多用されているわけだが、正直なところ、矢部浩之ほど効果的とは思えない。野球知識が豊富な大木と、サッカー元大阪府代表だったという又吉直樹。それぞれの強みがもっと番組作りに生きてくることを願うばかり。マニー・ラミレスに独占密着した特集企画「Human watcher」など魅せる企画もあるだけに、タレントに頼らない企画を、もっともっと深めてもらいたい。
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