トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 「団地の給水塔」マニアに訊く
それゆけ!勝手にしらべ隊

“団地の給水塔”の地位向上を目指す「日本給水党」党首に会ってきた

団地の給水塔の地位向上を目指す「日本給水党」党首に会ってきたの画像4「日本給水党党首」UCさん

――日本全国の団地の給水塔を巡っているとのことですが、きっかけはなんだったんですか?

UCさん 私が生まれたのは新潟県なのですが、小学2年生の時に福島の郡山へ引っ越しまして、さらにその後、5年生の夏休みに大阪へ引っ越してきたんです。引っ越し先の近くに「大阪市営古市中団地」という団地があって、そこに給水塔が3基併設されていたんです。その時はそれが給水塔だということもわからず、“あれはなんなんだろう?”と疑問に感じていました。鉄塔じゃないし、煙突でもないし、でも友達に聞いてみるでもなく、なんとなくと受け入れて暮らしていました。不思議な形の建造物だけど、子ども心には、それが当たり前の景色の一部という感じだったんです。

団地の給水塔の地位向上を目指す「日本給水党」党首に会ってきたの画像5「大阪くらしの今昔館」に展示されている「古市中団地模型」

――変だなぁとは思いながらも、特に興味は持たずにいたと。

UCさん その後、2003年ごろに、その団地が取り壊しになったんですよ。建物がなくなってから、“あの塔は一体なんだったんだろう”っていう疑問がまた湧いてきて……。インターネットが普及し始めたころだったので、ネットで情報を探してみたんです。情報は少なかったんですが、団地の写真を多数掲載している「団地百景」(http://danchi100k.com/)というサイトと、「高架水槽コレクション」(http://www.geocities.jp/tanglewood803/)というサイトを見つけまして。「団地百景」には小さいながら古市中団地の写真も掲載されていて、それがどうやら給水塔というものらしいということがわかりました。また、「高架水槽コレクション」を見て、給水塔の用途や、さまざまな給水塔が全国各地にあることがわかりました。それでようやく、“なるほど、そういうものだったのか!”と。

――大人になって、ついに正体がわかったんですね。

UCさん はい。すっきりしました(笑)。それから数年して通勤で京阪電車に乗っていたら、同じ形の給水塔が車窓から見えたんですよ。“あっ、同じやつだ!”と、とても驚いて、休みの日に行ってみることにしました。それは寝屋川の警察の宿舎にある給水塔だったんですが、取り壊す直前で、ほとんど人も住んでいない状況だったのを覚えています。間近で見ると、かなり迫力がありましたね。それで、ほかにもあるのかな……? と気になってきてしまって。

――ハマってしまったわけですね。

UCさん そのころにはもうグーグルマップがあったので、「団地百景」などを見て、見当をつけた場所をグーグルマップで確認して。ただ、今と違ってストリートビューはなかったので、航空写真でその場所をチェックして、“影が延びているかどうか”で、それが塔なのかを判断していました(笑)。まずは、近場の大阪から巡っていくことにしまして、そうやって見ていくと、違う形の給水塔があることもわかって、さらに面白くなっていったんです。

――それで、全国の給水塔を見て回ろうと決意されたんですか?

UCさん いえ、最初はネットで調べて、近場のものを見に行って満足していました。そうしているうちに、現在「チーム4.5畳」としても活動している、けんちんさんに出会ったんです。彼は「団地BAR」というイベントをやっていて、団地の面白さを広めていました。そこで「いま、給水塔に興味があって……」と話したところ、「団地の給水塔だけを専門に研究してる人はまだ誰もいないから、絶対やったほうがいい!」と、かなりの勢いでけしかけられまして(笑)。

――運命の出会いですね!

UCさん そこから、本腰を入れてやってみることにしました。見れば見るほど違いが見えてくるし、最初のころに見たものも、知識が入って見直すと違って見えてきたり。分類ができてきて、特徴がよりはっきりしてくる。そうすると、もう止まらない(笑)。路上観察系の趣味を持っている人は、だいたい同じ流れだと思います。行けば行くほど、深みにハマるという。

――団地の給水塔って、どこらへんが面白いんですか?

UCさん 給水塔には、工場だったりとか、鉄道関連の施設などに併設されているもの、自治体の水道局が管理しているものなどがあります。そういう場所の給水塔はすごく大きなものが多いんですが、それと比べて団地の給水塔はもう少し小さくて、日常の暮らしの中にある。人が住んでいるすぐ横に、得体の知れない形のものがあるっていう不思議な感じが魅力だと思っています。

12345
ページ上部へ戻る

配給映画