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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > モー娘。の“マッチョイズム”
MC内郷丸「現代アイドルソング学概論」第5回

モーニング娘。’17「BRAND NEW MORNING/ジェラシー ジェラシー」に見る、“ヒップホップ的マッチョイズム”

 2000年代前半、モーニング娘。が一度ブームを終え、テレビを賑わすグループアイドルがいなくなってから、その次を担ったのがAKB48であった。AKB48もまた、今月15日に「シュートサイン」(キングレコード)をリリースしている。現在テレビ朝日系で放送中のドラマ『豆腐プロレス』の主題歌であるこの曲は、4月に卒業公演を予定する小嶋陽菜が最後にセンターを務めることでも話題だ。

【MV】シュートサイン Short ver. / AKB48[公式]

 AKB48のブレイクのきっかけは、なんといっても総選挙であった。そしてその総選挙や、テレビ番組の出演、あるいは劇場公演や握手会といった現場で行われるイベントなど、さまざまな場所でのエピソードがメンバーたちのキャラを作り上げた。精神科医の斎藤環は、AKB48人気の要因を“キャラ消費”に見出している。

 先の「ユリイカ」の日本語ラップ特集には、「キャラクターとしてのラッパー」という副題のついた論考が掲載されている。少し引用してみよう。「ラッパーにとって“キャラ立ち”が重要なのは間違いない」「“リアルなラッパー”に求められるのは、まず自分の人生を物語化し、自己を魅力的にキャラ立てしていく詩的な能力であり、描き出された“自分というキャラクター”を体現してみせるパフォーマーとしての能力である」など。最後に「ダメなラッパーは肉だ」という有名なパンチラインを引用し、ラッパーはただ肉のまま、ありのままを提示するだけでなく、自分自身を料理してキャラとなり、“現実と虚構の緊張関係に身を投じてこそ、リアル”になれるのだと論じている。まるでアイドルのセルフプロデュース能力を語っているかのような論調である。

 モーニング娘。’17は、フォーメーションダンスに代表される「パフォーマンスに対するストイシズム」によって、AKB48は「リアルなキャラの演出」によって、それぞれその人気を獲得してきたといえるだろう。ステージの上、テレビの画面上で、ファンを魅了し続けるアイドルにとって、どちらもとても大切な要素である。

 しかし、そのどちらもが、ラッパー、ヒップホップMCたちにも求められている。強面の筋肉隆々の男たちであろうと、可愛らしい衣装で踊る美少女であろうと、大切なことは同じなのだ。
(文=MC内郷丸)

Twitterアカウントは@bfffffffragile

MC内郷丸の「ほんと何もできません」https://synapse.am/contents/monthly/uchigomaru

最終更新:2017/03/30 10:59
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