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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > パンクすぎ!伝説のハガキ職人
『笑いのカイブツ』発売記念インタビュー

パンクすぎ! 伝説のハガキ職人の挫折の日々と、妄信し続けた“才能”の終着点とは――

■そのへんの小説家が書くような文章はいらん

――本のターゲットはどんな人?

ツチヤ 27歳の頃の僕ですね。

――心の中に「カイブツ」を抱えている人ということですね。そういう人たちを、この本で安心させたい?

ツチヤ 安心……そうですね。僕が27歳の時にこういう本が読みたかった、こういう本があったら救われただろうというものを書きました。

――当時は「自分みたいなヤツは、ほかにいないんじゃないか」と思っていた?

ツチヤ 一般人にはいないと思っていました。かつてはいっぱいいたのかもしれないけど……岡本太郎とかゴッホとか。

――そこと同列……! お笑いネタは膨大な数を書いてきましたけど、小説を書くに当たって、苦労はなかったですか?

ツチヤ それまでお笑いに向けていた熱量を、小説にぶつけるという意味では同じでしたね。ノートやチラシの裏にバーッと書いたのをスマホで清書して。最初4万字書いたら、そこから4,000字だけ選抜してほかは捨てる――。ハガキ職人の頃に投稿するネタを選抜していたように、文章も選抜していきましたね。

――急に話が飛んだり、説明が足りないんじゃないかなという部分があるのは、つまらない部分を削ったからなんですね。

ツチヤ 僕なら、ダラダラした説明があった時点で捨てますから、そんな本。常に「面白い」を与え続けないといけない。全ページ面白くしたかったですね。そのへんの小説家が書くような文章はいらんと。そいつらより絶対にすごいもん書いたるっていう気持ちはありました。

――小説でも、上から目線になるんだ……。

ツチヤ 小説家なんて全員おもんないなと思ったからこそ、これを書いたわけなんで。

――今後は、小説家として活動していくんですか?

ツチヤ なんのこだわりもなく、依頼が来たヤツ全部やろうと思ってます。一回、死んだと思って生きてるんで。それで失敗して、バカにするならしたらいい。「AV出ろ」って言われたらイヤですけど。

――それ、オファーするほうがどうかしてますけどね。今はバイトもしてない?

ツチヤ 印税前借りしてるんで。それがなくなって食えなくなったら、「いつ死んでもいいやって。それは常に思ってますね。

――それはまだ思ってるんだ……。

***

『笑いのカイブツ』が出版されて以降、執筆の仕事だけでなく、お笑いの仕事依頼も次々舞い込んでいるというツチヤ。

 一度はお笑いをあきらめたツチヤが、ここからスゴイ笑いを生み出してくれるのか、それともやっぱり「人間関係不得意」だからドロップアウトしてしまうのか?

 停滞しているテレビの「お笑い」をぶっ壊してくれそうな存在であるツチヤの活動を、楽しみに見守りたい。
(取材・文=北村ヂン)

最終更新:2017/03/24 18:00
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