『笑いのカイブツ』発売記念インタビュー
パンクすぎ! 伝説のハガキ職人の挫折の日々と、妄信し続けた“才能”の終着点とは――
2017/03/24 18:00
#お笑い #本 #インタビュー #北村ヂン
■オレ以外全員死ね!
――それから吉本の劇場に入り込むわけですが、そこでは「打席」に立てなかった?
ツチヤ 劇場で作家としてネタを書かせてもらうためには、上に気に入られなきゃならなかったんですよね。「なんでオレにネタを作らさへんねん!」とか「お前らが使こうてる作家より、オレのほうが面白いのに!」なんてことばっかり思ってました。業界の仕組みもなんにもわかってなかったんです。
――そこで周りと同じように媚びようとは思わなかった?
ツチヤ ダサいじゃないですか。そんなことやるより、ハガキ職人になったら全部打席だから。
――ああ、そっちにシフトするんですね。でも、ハガキ職人って、仕事ではないですよね?
ツチヤ 仕事とか関係ないんですよ。自分の笑いを世に出せたらいい。「おもんない先輩作家がエライさんの肩を揉んで仕事取ってる間に、こっちはハガキ職人やって全部の打席で打ちまくって抜いたらぁ!」と思ってました。
――ラジオは好きだったんですか?
ツチヤ ハガキ職人になるまで、ほぼ聴いたことなかったですね。ラジオって、フリートークがメインじゃないですか。当時は作り込んだものが好きだったんで、フリートーク聴いてる時間があったら、コントのDVDを見まくろう、映画を見て吸収しようって思ってましたね。ハガキ職人やってる頃も、ハガキコーナーしか聴いてなかったですもん。
――それじゃ、楽しんでラジオを聴けないでしょう?
ツチヤ 完全に、表現の場所としか考えてなかったです。「こういうネタが採用されんのや」とか、ずっと分析しながら聴いてました。
――ほかのハガキ職人のネタも分析したり?
ツチヤ いや、「オレ以外全員死ね」と。全員事故って死んで、オレだけのネタで番組を埋めたいと思ってましたから。
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