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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『山田カンヌ』第11話が痛い

『山田孝之のカンヌ映画祭』第11話 もう見てられない! 正論vs正論の正面衝突が痛すぎて……

 小柄な山田が、さらに小柄な山下を見下しながら、

「意味のないこと、なんのためにやるんですか?」
「意味わかんないです」
「とりあえず撮りたいってことですか?」
「妥協しかないじゃないですか」
「とりあえず撮りたいんだったら好きなもん撮ればいいじゃないですか。いつもやってるように」
「一生カンヌ獲れないですよ。妥協妥協妥協じゃ」

 さすがにここまで言われて、山下も黙っていない。

「それはちょっと失礼じゃない?」

 ちょっとじゃない。すごく失礼だ。

「なんで俺の映画作りを否定すんの?」
「今までの俺の映画が全部クソってこと?」

 山下も感情が高ぶってくる。それでも山田は止まらない。

「いいっす、もういいっす。帰っていいっすよ。いらないっす」

 すわ、乱闘か、という雰囲気である。殴ってしかるべき場面だ。

「ホントに終わりなの、これで」

 スタッフを集め、ここまで進めてきた企画に未練を残す山下の肩を叩き「ホントもういいっす」「もうやだ」と、山田はまるで子どものように駄々をこねて、山下を現場から追い出してしまう。

 山田をブン殴るかわりに、全力疾走で現場をあとにする山下。自分の現場から、いの一番にいなくなる映画監督とは、どんな気分だろうか。スタッフたちも、山田の話より山下のほうが気になって仕方がない。

 突如、森の向こうから爆発音がして、火柱が上がった。「さちこ」が燃えてしまったようだ。監督もいないし、「さちこ」もいない。これで、この日のクランクインは絶望的になってしまった。

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