『フリースタイルダンジョン』モンスターたちの“危機感”と、ぶつかり合う価値観が証明するヒップホップの多様性
#テレビ裏ガイド #てれびのスキマ #フリースタイルダンジョン #日本語ラップ
昨年の「ユリイカ」6月号(青土社)が「日本語ラップ」特集で、「サイゾー」同号が「ニッポンのラップ新潮流」、「クイック・ジャパン」(太田出版)が「フリースタイル」特集と、カルチャー誌がこぞって特集したことが象徴的だ。ちまたでは、僕のようなニワカのファンがあふれ、バラエティ番組などでも、たびたび芸人やタレントがフリースタイルの真似ごとをやっているのを見かけるようにもなった。もちろん、それは裾野を広げるという意味では素晴らしいことだろう。
だが、ブームは燃え上がると途端に冷めてしまうというのは、歴史が証明している。REC4のライブコーナーに登場したCreepy NutsのR-指定は、新曲「助演男優賞」を歌った後、真剣なまなざしでMCを始める。
R-指定はモンスターの中にあって、圧倒的な勝率を誇る現在のフリースタイルバトルシーンを象徴する男だ。バラエティ番組などでも、その代表として登場する機会が多い。
「昔からフリースタイルしてる人間として、今こうやってブームになって『お前らブームに乗ったな』とか言われるのって、すごい複雑」
と、R-指定は切り出した。自分たちは、昔から同じことをしているだけだと。
「手のひら返したように寄ってくるんですけど、俺が卑屈なのか、全部疑ってしまうんですよね。『よっしゃ、俺らの時代来た!』なんて思ってる奴は(いない)。ここに出てる全員、危機感とか複雑な思い抱えてやってます」
「ブームが来て、ブームが去って、カメラがなくなっても雑誌が来なくなっても、やることは一緒です」
そう宣言して、ブームが終わった後、どうなるのかを描いた「未来予想図」を歌うのだった。
「真っ先に槍玉あげられんの俺かな?」という物哀しいフロウは、聴く者の胸に深く突き刺さった。
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