「さっさと帰りたい」TBS系『クレイジージャーニー』で話題の洞窟探検家・吉田勝次が覗いた“地下世界”とは
#インタビュー
――洞窟で遺体に出会うことは、ありますか?
吉田 あります。その方は、亡くなった1年半後に僕らが見つけたんですけど、すぐ死んでないんですよね。僕らも探検しているんで、わかるんですけど、洞窟の中って目を閉じても開いても同じなんですね、暗闇なんで。それをその人は、何週間か、命が尽きるまでやったんだろうな、と。死んだのか生きてるのか、わからなかったと思いますよ。それがなんとなく想像できる。
――探検には「探検」「測量」「撮影」があるということでしたが、測量をして図面に起こすと、気づかなかった部分が出てくるでしょうか?
吉田 出てきますね。方位とか、データを取りながらスケッチを書いていくんですけど、データが間違っていたらスケッチを見ればわかるし。スケッチが大事で、その図面を描き上げたときに、空白の場所があるんですよね。空白って言っても、こことここがつながっているんじゃないかっていう空白。
――探検では気づかなかった箇所ですか?
吉田 そう。通路と通路が実は近かったということもあるし、この穴へつながるんじゃないかとか。あと、地下水の流れがこっちを向いているというのがわかって、入口はまだ見つかってないけど、こっちにすごい世界があるんじゃないかっていうのを、地図から読み取ったりする。地図を作ると探検した洞窟のジオラマを作るような感覚で、楽しいですね。二次的に還元できるんです。測量を終えるまで調査は終了しないので、測量している人間は見込みがなさそうな隙間も渋々行くんですよ。「めんどくさいな~」とか言って。あとは、仲間で体の小さいやつが「吉田さん、ここも行けるよ」って通路を見つけてきて「これ、お前は行けるけど俺は行けねえぞって、なんでこんなの見つけてくるんだ」ってマジで怒ることもある(笑)。行かなくちゃいけないから。
――著書にも登場する、洞窟の国際大会とは、どんなことが行われるのでしょうか?
吉田 まず、学者が発表をするんです。どんな成果があったとか。例えば、こんな生物を見つけましたとか、こんな洞窟を探検しましたとか、ありとあらゆる学問的なことを。水文学、地質学、地理学、生物学、古生物学、人類学……あと何かな? それぐらいの学問プラス洞窟って感じ。人類学とか考古学って洞窟と関係ないと思われるかもしれませんが、洞窟の中で遺物が発見されたり、特殊な生き物を見つけたりとか、そういうのを研究者が発表する場であったりだとか、情報交換もします。また、洞窟には救助がつきものなので、それの講習会もやります。山岳救助隊みたいのがいないから、誰かがケガをしたりしても、出すまでは自分たちでやらなければならないので。あとは、スペレオオリンピックって言って、ロープを登る速さを競ったり、狭いところをどれだけ速く通れるとか、そういうのをやります。ほかには、物販ですね。いろんなメーカーが来て、新型の装備、機器をそこで展示して販売する。要するに、洞窟界の祭典みたいなものです。
――今後の探検の予定はありますか?
吉田 今月21日から、去年に続いてラオスの大きな調査プロジェクトを開始します。洞窟探検ってヨーロッパの人がよくやるんですけど、先進国の人たちは、自分たちの国の洞窟は調べ尽くしているんですよ。登山と同じくらい盛んで、しょっちゅう海外遠征に行く。どこに行くかというと、東南アジアです。行きやすいし、洞窟もたくさんあるし。やっぱり、その国の人が洞窟に入ってないんですよ。入ったことはあったとしても、装備もなく、ちゃんと調べていないので。
――洞窟探検以外で、これ面白そうだなって思うものってありますか?
吉田 あ~やっぱり宇宙だね。せめて月には降りたいなって。実際に月に洞窟が見つかっているんですよ、縦穴で。重力が地球の6分の1ですよね。ぴょーんって飛んだらいきなり飛び降りられるでしょ、縦穴に。地球で探検するより早そう。月にも行きたいし、月の洞窟には絶対入りたい。
(取材・文=編集部)
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