「事故の可能性を認めることに……」NHK水野解説委員が明かした、原発が探査ロボット試作品を置かなかったワケ
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
原発事故はこのように、一度事故が起きてしまえば、廃炉にするにせよ、気の遠くなる時間がかかるのだ。
「私は福島の事故前から、次に原子力施設で何か大きな事故があるとしたら原発なのではないかと思っていました。そう考えたきっかけは、1999年に茨城県東海村の核燃料の加工工場で起きた臨界事故です。中性子線という強烈な放射線が放出され、2人の作業員が亡くなりました。この時、事故の収束に手間取ったことを教訓にロボットが必要だという結論に至った。国の予算で研究機関が試作品を作ったというので、私も取材に行きました。ところが、行ってみると研究者たちが、困っている。せっかく作った試作品も実用化するには電力会社に引き取ってもらい各地の原発に配備してもらうしかありません。しかし電力会社は『ロボットを置くということは、すなわち事故が起こる可能性を認めることになる』という理屈で、原発では不要だというのです。この時実用化しておけば、福島の事故で役立ったことは間違いありません。まさに“安全神話”の典型でした。電力会社は『事故は燃料加工会社が起こしたもので自分たちは違う』と全く対岸の火事を見ている状態で、そこから教訓を見出そうとはしていなかった。こうした状況を見聞きして私は『次に事故が起きるとしたら電力会社の原発だ』という思いを強くし、備えをしなければと考えるようになりました。各原発を取材し、同時に現場を知り確かな知識を併せ持つ専門家を探しました。一番詳しかったのは、原発を実際に作っているメーカーの技術者たちで、日頃から意見交換してきました。ですから、福島の事故の時は、スタジオ解説の合間に彼らに連絡を入れ、何が起きているのか、確認を続けていました」
彼が、事故直後から報道現場で何が起きていたのかを本当に語ってくれれば、素晴らしい「証言記録」になるはずだが、それはできないのだろうな。
「政府は40年で廃炉を完了させると言っていますが、取り出した核燃料の最終処分も考えればもっと時間がかかる可能性もあります。今、生きている人で福島の廃炉を見届けられる人が、一体どれだけいるのか。私の先輩の解説員からは『お前、廃炉になった福島原発の前で最後のリポートをしろよ』と言われ、是非そうしたいと思ってはいますが、そこまで私が現役でいられるかどうか……。でも、誰に何と言われようが私はその過程を見届けていきたい」
こういう男が現場にいてくれると思うだけで、少しは気持ちが落ち着くではないか。
原発事故はまだ収束していない。確実なのは、原発を再稼働させれば、また同じような、否、もっと大きな事故が起きることは必定であろう。
政府は3・11を「原発事故を忘れない日」として祝日にしたらどうか。
【巻末付録】
現代は巻頭に「みんなの恋人 岡田奈々」。後半は「海外セレブハプニング2017春」。「妄想グラビア『東京タラレバ』OL写真」。袋とじは芸術家として知られていた鷲尾老人という人が遺した1,000点を超える「性風俗」のコレクションを掲載している。
明治時代にもヌードは撮られていて、なかなか面白い絵柄がある。揃えていないヘアが映っていたりして、いつの時代もこうしたものはあったのだと、いまさらながら気づかされる。
ポストは巻頭が「南野陽子『陽子をひとりじめ!』」。後半はおなじみの「まさみ筆あそび」と袋とじは「大西結花」。大西結花のヘアヌードはいい。
今週は明治・昭和の性風俗を楽しめる現代の企画力に軍配を上げたい。
(文=元木昌彦)
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