「事故の可能性を認めることに……」NHK水野解説委員が明かした、原発が探査ロボット試作品を置かなかったワケ
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
現代は2月7日にアメリカのエマーソン大学というところが発表した世論調査を載せている。それによると、メディアを信用できる人は39%で、トランプ政権を信用できるという人は49%にもなるというのだ。
米コロンビア大学ジャーナリズム科講師で、3世代にわたるトランプ家の歴史を描いた本を出している、グウェンダ・ブレア氏はこう指摘している。
「主流メディアは『事実は重要である』という考え方に慣れていますが、トランプ氏にとって重要なのは『人が聞きたいことを伝える。それは必ずしも事実ではない』ということです。トランプ氏は選挙中から、伝統的なニュースや事実解明に力を入れるメディアの信頼性を傷つけることに注力してきました。トランプ氏は恒例のホワイトハウス記者会の夕食会を欠席しますが、それは当然です。自分を非難している主流メディアが多数出席するイベントに出る意味がないからです」
日本でもメディアと政権の信用度は逆転しつつあるという。新聞通信調査会による世論調査によると、新聞の信頼度は100点満点中60.6点で、民放テレビは59.1点。
しかも年々、信頼度は低下傾向にある。方や安倍政権の内閣支持率は66%と高水準が続いている(読売新聞による世論調査・2月17日~19日)のだ。メディアより安倍政権が信用される理由を、城南信用金庫元理事長の吉原毅は、新聞記者の意識が一般大衆と著しく乖離してしまったことを挙げ、こう語る。
「新聞記者の多くは一流大学を出たエリートであり、自分たちのことをエスタブリッシュメント(支配者層)と考えているのではないでしょうか。エスタブリッシュメントというのは常に今の地位を守ることしか考えないため、臆病で勇気がない。しかも総じて彼らは高給取りです。今の生活を失いたくないという気持ちが強くなり、冒険ができなくなってしまう。その結果、読者が離れていっているのではないか」
その中心である朝日新聞のベテラン記者はこういう。
「なぜ、安倍政権の支持率が高いのか、これは社内でもよく議論されます。多くの記者は『朝日は伝えるべきことを報じているのに、安倍政権の支持率が高いのは理解できない。国民への啓蒙が足りていない。朝日が世の中を正しい方向へ引っ張っていかなければ』と考えています。かつての『朝日』のイメージから抜け出せない連中で、これはむしろ若い記者に多い気がします。彼らは、朝日記者たるエリートの自分たちは、他人を批判したり糾弾したりする資格があると思い込んでいる。そんな思い上がりが読者に見透かされているのですが、それに気づいていない」
こうした認識も古めかしいものだ。情報の多くはSNSからというのが若い連中の常識になっている。
その元の情報が朝日だろうと産経だろうと関係ない。情報を一瞥して、すぐに自分の好みの情報を探しにいってしまうのだ。ネット時代に既存のメディアが生き残るためには、あらゆるツールを使って情報を発信し、どんな形でもいいから読者やユーザーに読んでもらわなくてはいけない。
そのためにはもっと動画に力を入れるべきではないか。いいドキュメンタリーを新聞が発信できれば、読者はついてくるはずだ。映画の世界を見てみるべきだ。作り物よりも、ドキュメンタリータッチのもののほうが、見ていて面白い。NETFLIXやAmazonビデオも、いいドキュメンタリーが増えてきている。見て面白く、メッセージ性の強いものを作れば、読者はついてくる。培ってきた取材力を生かして、目で見る調査報道をやる。どこが早くそれに気づくかな。
最後に、今年の3・11を前に、あの時、NHKをはじめとした放送メディアで一人気を吐いていたNHKの水野倫之解説委員に現代がインタビューしている記事を紹介しよう。
「東日本大震災により福島第一原発はメルトダウンを起こし大量の放射性物質を広範囲にまき散らす重大な事故を起こしました。政府と東京電力は最長40年で廃炉にする工程表を掲げ、2021年には溶けた燃料の取り出しを始める計画を立てました。しかし、原子炉を突き破って格納容器まで溶け落ちた燃料取り出すのは世界でも初めてのこと。その前段階として、格納容器内がどうなっているのか、溶けた核燃料がどういう状態になっているのかを、まず調べなければならない。そこで先日、探査ロボットの通称『サソリ』が格納容器内に投入されたのですが、正体のよくわからない堆積物に阻まれ故障し、すぐに動かなくなってしまった。今年の夏には溶けた核燃料どうやって取り出すのか、その方針を決める予定です。しかし、このように内部の詳細もまだわからない状況で『取り出し方針』が決められるものなのか」
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