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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 芦田愛菜の“奇妙なひと夏”

『山田孝之のカンヌ映画祭』第9話 通底する山田孝之の“強靭な覚悟”と、芦田愛菜の“奇妙なひと夏”

■長澤まさみ登場にガールズバーの社長が

 その次の日、出資者の稲垣さん(ガールズバー経営)を交えて、山を燃やすシーンの美術打ち合わせが行われた。

 予算以上に、問題は燃やす許可の降りる山(森)がないということ。

「芦田さんの友達とかでいない? そういう山とか? 同級生で」
「すいません、あんま聞いたことない」

 あまりにロケ地が見つからないため、思わず芦田にまで尋ねる山下。

 そこへ、おそるおそる女性が入ってくる。

「おつかれさまでーす……」

 長澤まさみだ!

 山田以外みんな驚いている。急に現れたスターの対応に、バタバタし出すスタッフ。

 思わず、「マジか、おい」とニヤつき、意識し出す素人・稲垣社長。仕方ない。ADの男性ですら気づいた瞬間、目を見開いていたほどだ。

 長澤に芦田の母親・さちこ役をやってもらうことが山田から発表される。ずっとナレーションを担当していた長澤まさみの登場に、ネットの反応も盛り上がる。さきほどの村上淳の理不尽なクビを哀れむ雰囲気は、粉々に砕け散り、それもまた悲しい。

■時をかける芦田愛菜

 ここでエンディング。今回は評判のいい、いつもの「スカート」の曲ではなく、芦田が練習で歌ったアカペラがそのまま使用される。蝉の声を伴奏に、口ずさむように歌う儚さが、いよいよ大詰めにさしかかるであろう今後を静かに期待させる。

 この番組は、山田の覚悟を土台に突き進む一方で、ある少女が過ごした奇妙なひと夏の記録としての側面も増してきた。芦田と、山田や山下ら大人の過ごす時間の速さは違う。気づけば第2話くらいまでランドセルを背負っていた芦田の面影はもはやなく、用意された空間を飛び越えて響いてくる芦田の笑い声や歌声は、つい、どこまでが「ドキュメンタリー」なのかと勘ぐって見てしまう番組の中において、とてもリアルに輝く。もはや十分に、芦田の代表作と言っていいだろう。

「第10話 長澤まさみ 悩む」のHP予告動画では、長澤が露出を迫られたり、そして第8話のオーデション(記事参照)で登場した、笑いながら死ぬ演技が斬新だったエロ漫画家の渡邊さん(素人)と共演しているようだ。

 まさか、あの激戦の「犯罪者」オーデションを勝ち抜いたのだろうか? 一番下手だったのに!
(文=柿田太郎)

最終更新:2017/03/23 16:26
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