『山田孝之のカンヌ映画祭』第9話 通底する山田孝之の“強靭な覚悟”と、芦田愛菜の“奇妙なひと夏”
#ドラマ #テレビ東京 #芦田愛菜 #山田孝之 #どらまっ子 #山田孝之のカンヌ映画祭
突如カンヌ映画祭で最高賞を受賞したいと言い出した山田孝之と、彼に巻き込まれた人々との映画『穢の森』制作過程を追った、ドキュメンタリーのような、ドキュメンタリーじゃないような番組。
殺人鬼役にいきなり芦田愛菜を連れてきたり、自身のただのファンの社長に資金を出資させたり、その金でフランスのカンヌ事務局に押しかけちゃったりと、基本「どうかしちゃってる山田」に、監督を頼まれた盟友・山下敦弘が振り回されるという図式で、主に展開してきた。
前回は、山田が、犯罪者役に本物の前科のある人を使いたいと言い出したり、特に説明しないで父親役に俳優の村上淳を連れてきて、いきなり首吊りの特訓を押し付け戸惑わせたり、かなりの面白回だった。
そして今回は「第9話 村上淳 木になる」を振り返る。
■『バイプレイヤーズ』の名前が3人も
「殺されかけ、森で目を覚ました芦田演じる少女らいせに、殺そうとした犯人が母親であると教える森の木々。」の「木」の役を誰にするかのキャスティング(配役)会議。
ホワイトボードには、候補の名前がずらりと並ぶ。市村正親、木下ほうか、田中泯などのリアルな「木」感あるチョイスに混じり、内田裕也や樹木希林(たまたま夫妻)や美輪明宏らのレジェンドの名前も。さらに、大杉漣、田口トモロヲ、松重豊の名前も。彼らは全員、テレ東系で、この番組のひと枠前に放映されている、同じくドキュメント風のドラマ『バイプレイヤーズ』に本人役で出演しているメンバーだ。
この『山田カンヌ』は昨年の夏に撮影されているので偶然だとは思うが、『バイプレイヤーズ』の「もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら」というコンセプトの「名脇役」具合を証明する形となった。
ちなみに、同じフェイクドキュメンタリーとしてくくられる両番組だが、この『バイプレイヤーズ』はどちらかというと本人を使ったセルフパロディで、アドリブもあるだろうが基本はしっかりとドラマであり、『山田カンヌ』のドキュメタリー感を90だとすると、『バイプレイヤーズ』のそれは40くらいで、いい意味で安心していられる。放送時間的にも、『バイプレイヤーズ』で肩慣らし→『山田カンヌ』でリアルにハラハラ、といった感じだろうか。今さらだが。
しかも次回9話の『バイプレイヤーズ』に村上淳がゲスト出演することが決定。もはや、どこまでが偶然なのかわからないようなリンクをみせる。
出資者の稲垣社長(ガールズバー経営)から「主題歌に使って欲しい」と送られてきた、お店の女の子たちで作られたグループ「G-girls」のCDを、再生開始10秒で停止、即ボツにする山田。まだ歌にも差し掛かかってないので「いちおう全部聞かなくて大丈夫?」と確認する山下に、「いや、『ない』じゃないですか絶対」と吐き捨てるように全否定。確かに公開されたパイロットフィルムには絶対合わなそうな、ブレイクビーツのようなケミカルブラザーズのような音ではあったが、容赦がない。
ちなみに個人的に続きが聞きたくなり「G-girls」でも、CDタイトル「きまぐれバスローブ」でも、両方グーグル検索をかけてみたが、どちらも一件もヒットなし。グラビアユニット「G-Girls」がガンガンヒットする。
■首吊りのアザができるほど練習したのに
出演オファーを受け、首を吊る父親役を吹き替えなしで演ってほしいとの山田の真剣な想いに応えるため、個人的に首吊りの特訓をしてきた村上淳が稽古場に登場。なんと首にはうっすらと特訓の「跡」が見える。
自作の首吊り用のロープも持参し、いよいよリハーサル。しかし、その直前「首(のアザ)も心配なんで」という理由で、あっさり村上の役を父親から「木」に変えてしまう山田。
芦田に語りかける木々の木の役だと説明を受けるが、「木として?」と、ピンときていない村上。そりゃそうだろう、父親から急に植物に退化されたのだ。
アザができるほどの特訓の成果がどうなったかも知ることができない我々視聴者と、披露することも語ることも許されぬまま、もう次の役の説明を浴びせかけられる村上。お互い狐につままれたよう。
失礼な配役変更にもかかわらず「重要な役だったら、ワンシーンでも木でも僕は全然(いいです)」と、村上はどこまでも真摯な対応を見せる。
まだ急な変更に納得できず、父親役を模索しようとする山下と、「とりあえずなんか、その『首(吊り)』はもうやめましょうよ? 責任とれないですよ?」と理不尽この上ない逆ギレをみせる山田。ヘビーな「トムとジェリー」。結局、父親役は、首くくり栲象が演じることに。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事