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宍戸留美×小明×Voice Artist【声優 on FINDER!】vol.46

「ゴミみたいな自分でも、生きてていいの?」【清水愛】アイドル声優と“人妻”プロレスラー、その数奇な現在進行形

「ゴミみたいな自分でも、生きてていいの?」【清水愛】アイドル声優と人妻プロレスラー、その数奇な現在進行形の画像2

清水 声優は楽しかったので、思いませんでしたね。きっと表現をすることは好きだったんでしょうね。自分が何かをすることによって、誰かが喜んでくれるのが、すごく嬉しいんです。在学中にも、学校で講師をやっていた神谷明さんの番組のアシスタントオーディションに受かったんです。それで、自分の声が電波に乗るっていうミラクルなことを体験して、沖縄とか北海道とか海外とか、見ず知らずの遠くに住む知らない人たちから「応援してます」「あなたの声で元気が出た」って言ってもらえて……「何の役にも立たないゴミみたいな自分は生きてていいのかわからなかったけど、生きてていいの?」って思えて、ハマッちゃったんでしょうね。

――その低すぎる自己評価は何!? 青春時代に何にも良いことがなかった人みたい!

清水 学生時代は本当に黒歴史続きですね。やっぱりいじめられたりとか。コミュニケーションも上手くなかったし、食べるのも遅かったですし、マイペースなんですよ。みんなと違ったので、島国の本能で排除されたんだと思います。異物を排除しないと、自分たちのコミュニティが滅ぼされるかもしれないじゃないですか。だから異物であった私にとって、学生時代は地獄でしたねぇ。大人になって「世の中ってこんなに楽しかったんだ!」って感動してます。

――例え話が恐いんですけど、清水さんが「生きてていい」と思える日が来て本当に良かったです。学校を卒業されてからは、2000年代の“アイドル声優”の先駆け的な存在でしたね。まだいろいろと前例のない時期なので、ご苦労も多そうですね。

清水 私、こんなこと言ったら頭おかしいと思われるかもしれないんですけど、なんでもそうなんですよ。興味を持って始めたことが、そのときは誰もやってないから「変なことはじめやがって、クソが」みたいな扱いを受けるんですけど、一段落ついた頃にそれが流行りだして、そのジャンルが持てはやされるんです。でも、その頃、私はもう別のことをやっているんですよ。私、ゴスロリが好きでいっぱい着てたんですけど、そのときには誰も着ていなくって、よく「オタクに媚びてる」「事務所に着せられてる」って言われてたんです。でも、そんなわけないじゃないですか! あんな高い服を、好きでもないのに他人の指示で買うわけないですよね(笑)!? 黒髪を貫いたり、前髪をぱっつんにしたり、顔の横に必ず長めの毛がないと死んじゃう、みたいなのも、昔は今みたいに声優のスタンダードじゃなかったですね。

――確かに! 今はAKBとか地下アイドルとか、もうほぼ全員ありますよね、アイドルの触覚(顔の横の毛)!

清水 私は物心ついたときからずーーーっとそのスタイルが好きで!! でもそういうのの繰り返しなんです、時代が私に追いつかないって言うと傲慢な言い方なんですけど、ズレてるんです、時空が! あと10年遅く産まれてたら、もっと人生が楽しかったはずなんです! そうすれば、周りとももっと話が合ったはずだし、異物として排除もされなかったはずなんです! アイドル的な仕事を始めたときも、まわりの先輩からは「チャラチャラしやがって、ふざけんなよ」みたいな感じでめっちゃ言われてたんですよ。「短いスカートはいてオタクにパンツ見せてりゃいいと思いやがって、芝居する気ねぇんだろ?」って!

――先輩の口が悪すぎてヤバイ!! まさか、声優になってまでもイジメに!?

清水 でも私、若い頃すっごい気が強くって、めちゃくちゃ尖ってたので、ぜんぜん平気だったんですよ。というか、その頃はあまりに忙しくて、一個一個の仕事をなるべく高クオリティで仕上げるために、余計なことにかまっていられなかったんですよね。

――当時はどういうお仕事が多かったんですか?

清水 アフレコやラジオ収録の他にユニットとしてのお仕事もあったので、全国でイベントをしたりライブをしたり、雑誌やDVDの撮影とかが多かったです。

――それだと、実際にアニメに声をあてている時間よりも、そっちの方が長くかかりますよね。

清水 そうなんです。なので、ひどいときは、こんなこともありました。同じ作品の別のお仕事がアフレコ前に入っていて、そっちを終えてからアフレコ現場に移動するんですけど、スタッフさんには「この時間で大丈夫です」って言われているから、普通に「おはようございま~す」って現場に入るじゃないですか。そうすると先輩達がすっごい怒りながら待ってる、みたいな……。

――想像するだけでお腹が痛くなりますね……。

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