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スポンサータブー? メディア側の過剰な自粛? 多国籍企業を告発した映画の公開に垂れ込む暗雲

スポンサータブー? メディア側の過剰な自粛? 多国籍企業を告発した映画の公開に垂れ込む暗雲の画像3アヤンの営業力を認めていた上司のビラル(アディ・フセイン)だが、アヤンが会社を辞めようとすると警告を発する。

「劇映画としての面白さとメッセージ性をきちんと両立させているところが、ダニス監督の名匠たるゆえんでしょうね。本作は日本でもヒットした『めぐり逢わせのお弁当』(13)を製作したインドのプロデューサーが資金を集め、パキスタンでは無理だったので代わりにインドで撮影されたんです。2014年に完成し、トロント映画祭やサン・セバスチャン映画祭で上映されましたが、パキスタンはもちろんインドでも欧州でも劇場公開できずにいます。大手グローバル企業の影響力を気にして、他国のバイヤーたちは買い控えたのかもしれません。今のところ、日本だけが唯一の『汚れたミルク』を劇場公開する国になりそうです。以前、ドキュメンタリー映画『ダーウィンの悪夢』(04)を弊社が買い付け、日本で公開する際に、タンザニアの駐日大使から『アフリカのイメージを損なう』と抗議を受けたことはありましたが、でも今回のように宣伝活動で苦戦したことはあったかどうか。何とか劇場公開に漕ぎ着け、ひとりでも多くの人にパキスタンで何が起きたのかを知ってもらえればと思っています」(同スタッフ)

 映画に登場する大手グローバル企業のモデルとなったネスレ社は同社のホームページの「よくある質問」の中で、「映画『汚れたミルク』を知っていますか?」という質問に対して「映画の中の出来事は、1990年代のことであり、ネスレの活動に関する事実を大きく歪めたものです。」と答える文面を掲載している。日本での『汚れたミルク』の劇場公開に関しては、今のところ無言を貫いている状態だ。
(取材・文=長野辰次)

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『汚れたミルク/あるセールスマンの告発』
監督/ダニス・タノヴィッチ 脚本/ダニス・タノヴィッチ、アンディ・パターソン
出演/イムラン・ハシュミ、ギータンジャリ、ダニー・ヒューストン、カーリド・アブダッラー、アディル・フセイン
配給/ビターズ・エンド 3月4日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
(c)Cinemorphic,SikhyaEntertainment &ASAP Films 2014
http://www.bitters.co.jp/tanovic

■3月25日(土)からはダニス・タノヴィッチ監督の最新作『サラエヴォの銃声』が新宿シネマカリテにてロードショー公開される。第一次世界大戦のきっかけとなったサラエヴォ事件から100年の記念式典を開くことになった伝統あるホテルで起きる群像劇。戯曲『ホテル・ヨーロッパ』をベースに、地元出身であるダニス監督によるスリリングな演出が見ものだ。

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『サラエヴォの銃声』
原作/ベルナール=アンリ・レヴィ 監督・脚本/ダニス・タノヴィッチ
出演/ジャック・ウェベール、スネジャネ・ヴィドヴィッチ、イズディン・バイロヴィッチ、ヴェドラナ・セクサン、ムハメド・ハジョヴィッチ
配給/ビターズ・エンド 3月25日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
(c)Margo Cinema,SCCA/pro.ba2016

最終更新:2017/02/28 17:00
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