ソウルの風俗街「オーパルパル」解体で、売春婦はどうなる?
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“オーパルパル”という通称でおなじみの、ソウル市内の売春街「清涼里588」。再開発地区の指定から約23年の年月が経過した同地域だが、来月3月からついに売春宿の強制撤去が始まろうとしている。その強制撤去をめぐっては、自治体および住民と売春業従事者が激しく対立。世論の関心を集めている。
オーパルパルの歴史は約60年前までさかのぼる。1950年代の朝鮮戦争時に、軍人たちを相手にした売春が始まりで、その後、韓国を代表する売春街として隆盛を極めた。80年代には約200、昨年時点でも約150の売春部屋が軒を連ねていたという。ただ、韓国経済の不景気の煽りを受けてか、ここ数年は客足も遠のき、売り上げも徐々に減少してきた。「売春街が街の一角にあるのは、モラルや教育上よくない」といった世間の厳しい批判もあり、韓国を代表する売春街は少しずつ衰退の趣を見せ始めている。
「売春街も不景気。大家の家賃収入は、なかなか厳しくなってきた。そのため、住人も少しずつ再開発に呼応し始めたのです」(都市環境整備作業推進委員会のイム・ビョンオク委員長)
強制撤去が余儀なくされた状況下で、売春婦たちの生活を憂慮する声もある。例えば、韓国MBCニュースは、「再開発による撤去のため、行政によるこれといった職業訓練や生活支援もなく、売春婦たちはほかの売春街に向かわなければならない状況」だと説明している。
「(強制撤去は)売春婦たちがなんの対策もなしに、道端に放り出されることを意味しています」(MBCニュースの取材に答えた売春婦のひとり)
一方で、自治体関係者や住民の中からは、街を“清潔”にし、街おこしに専念すべきだという声が高まっている。韓国メディアの取材に応えた東大門区の再開発関係者は言う。
「再開発事業が遅くなることで建物の老化が進み、安全問題が深刻化しています。売春街のイメージを脱却して、人々が訪ねてくる街にしたい」
今後、オーパルパルの跡地には、高層アパートが立ち並ぶ予定だ。これは、すでに再開発された龍山と同じ行く末となる。日本でも少なくない人々に知られているオーパルパルだが、撤去はどのように進むのか? 論争は今しばらく続きそうだ。
(文=河鐘基)
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