「嫁は感激してますけど……」“元アウトローのカリスマ”瓜田純士が大ヒットアニメ『君の名は。』をメッタ斬り!
#映画 #インタビュー #瓜田純士
純士 たとえばですけど、『ドラえもん』ってあるじゃないですか。あれを飽きずに見れるのは、のび太とかドラえもんとかジャイアンが三枚目だからですよ。でも、出木杉君としずかちゃんが主演のラブロマンスを、2時間見れます? 無理でしょう。つまりはそういうことです。『君の名は。』は、絵やキャラクターに、「若い男女は美しくあって欲しい」という監督の変態的な願望が入りすぎてるから、こっちの目と心が追いつかないんですよ。
――絵のクオリティーはものすごく高かったですけどね。
純士 その技術力は、きっと世界でもダントツでしょう。キャラの動き、スマホの質感、コンビニで買った商品のリアル感。どれもこれもすごい。すごいんだけど、100で来られすぎました。クリエイターたちの力が入りすぎてて、見てるほうが疲れちゃうんですよ。
――瓜田さんの地元である新宿の街並みも、本物そっくりに再現されていましたね。
純士 まわりくどい。あそこまでリアルさを追求するんだったら、実写でやれよ。なんでわざわざアニメにしたんだよ。監督はたぶん自分で見て自分で酔いしれてるんだろうけど、その優越感が鼻につきますね。そのくせ、バイト先の女上司が、先に風呂入って浴衣に着替えてるのに、バリバリのツケマで外行きのままなんですよ。そういう細部には気が回ってない。下手したら女性は化粧でそんぐらいに化けてるってことを、わかってないのかもしれないな。この新海って子は。
――瓜田さんより年上ですけどね。
純士 中身は俺のほうがオトナですよ。あんまこういうこと言いたくないけど、初めから違う人なんだな、と思います。見てる景色や育った環境、すべてにおいて俺とは違う人なんだな、と。(ここで麗子夫人が戻ってくる)
――旦那様はお気に召さなかったようですが、奥様はいかがでしたか?
麗子 もう最初から最後まで、ズッキュン、ズッキュン来まくりでした。途中から嗚咽が止まらなかったです。
純士 そのときに俺、わかったんですよ。嫁は凡人で、俺は天才なんだな、と。
麗子 ちゃうわ! 純士にはロマンチックさがないんや! 私、学園物は苦手なんやけど、これはホンマに最高やった。ようできてるなぁ、と。
純士 こんなもんによく感情移入できたな。アニメって、ブサイクな男の子も女の子も見るじゃないですか。どっかで自分にコンプレックスのある人たちが見た場合、学校のシーンなんかが特にそうだけど、脇役までもが揃いも揃ってヒロイン級に容姿端麗だったら、面白くなくなりますって。僕が、私が、この場にいたらどうなるんだろう? そういう想像を掻き立てるのがアニメの面白いところなのに、どいつもこいつも出来杉君としずかちゃんばっかだと、イケてない男女が自分を投影できず、置いてきぼりを食らって可哀想ですよ。その点、宮崎アニメなんかは、ヒロインが可愛いんだか可愛くないんだかわかんなかったりして、愛嬌があるから、感情移入できるんですけどね。
麗子 スマホの音とか、電車の発車メロディーとか、生活音がリアルやったから、私はストーリーに没頭できたけどな。
純士 ああいう音もすべて、「うるせえよ!」と思いました。うるさかったと言えば、なんすか、あの学芸会みたいなバンドは。あんなしみったれた歌詞でお経みたいに歌われたら、「家でやれよ!」と言いたくなりますよ。
麗子 ウソー!? 私はあの音楽、めっちゃ泣けたで。サントラのCD欲しいもん。
純士 頼む。それだけはやめてくれ。一緒に住んでるんだから……。上映中はマジで地獄でしたよ。こっちはバカだクソだと思ってるのに、横では自分の愛する嫁が感動して泣いてるんですよ。しかも、あの背筋が凍るような音楽を、監督が好きだからって、ちょいちょい出してくるわけです。「ほら、ここでこの曲が流れたら、お前らグッとくるだろ?」と言わんばかりに。だけどあの手の音楽が嫌いな人からしたら、「え、やめて!」となるじゃないですか。なのに、しつこく流してくる。眠たいったらありゃしない。落語かよ、と思いました。
――RADWIMPSは紅白に出るほど大人気ですけどね。
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