連続強姦社員を放置、組織的な受信料詐欺……“公共放送”NHK会長の謝罪・辞職はまだか
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
そのトランプと安倍が会って、仲良く握手し、目と目で見つめ合っている写真をあなたは見たか?ひと言で「気持ち悪い」である。そう思ったのは私だけではなかったようだ。
ポストによれば、世界のネットではこの「蜜月」ぶりが物笑いの種にされているという。さらに米誌タイムスは「日本の首相はトランプ大統領の心をつかむ方法を教えてくれた。それは媚びへつらうことだ」と報じ、フランスのル・モンドは「フロリダの太陽の下でゴルフと気前のいい贈り物があればトランプを落とせるのか?」と疑問を投げかけている。当然であろう。日本で活動するシリア人のジャーナリスト、ナジーブ・エルカシュはこう皮肉っている。
「2人の蜜月は長くは続かず、日本は立場が弱いままこれまで以上の対米追随を迫られる危惧があります」
先々週のポスト(2/17号)が報じているように、日米首脳会談というのは、日本側が軽くあしらわれ、煮え湯を飲まされ続けてきた“屈辱”の歴史なのだ。
日本で最初に日米首脳会談をしたのは吉田茂だが、1951年にサンフランシスコ講和条約締結のために訪米した際には、トルーマン大統領には会えず、やっと会えたのは54年11月で、この時の大統領はアイゼンハワーに替わっていた。
岸信介は57年にアイゼンハワーと会談しているが、2度目の60年に新安保条約の調印のために訪日したときは、アメリカ側で署名したのはハーター国務長官だった。
「米国は日本の首相を大統領と同格と見なしていなかった」(ポスト)
佐藤栄作時代は日米の繊維摩擦が激化し、日本はアメリカへの繊維の輸出を大幅に規制するという条件を飲まされ、繊維業界は壊滅的な打撃を被った。沖縄返還は実現したが、佐藤は「糸と縄を交換した」といわれた。日米首脳会談で最も煮え湯を飲まされたのは田中角栄だろうと、外交評論家の孫崎亨はいう。
田中はアメリカの頭越しに日中国交正常化を目指していたが、それを知ったニクソンは日本に出し抜かれるのを恐れ、「日中交渉の延期」を申し渡すためにキッシンジャー補佐官を日本に派遣した。
しかし、田中は「なぜオレが補佐官に会わなきゃいけないのか」と渋り、キッシンジャーの要請を一蹴してしまう。そのため、中国訪問に先立つ78年8月にハワイで首脳会談をしたとき、ニクソンもキッシンジャーも激怒していて、田中を罵倒したという。
ポストによれば、このとき、アメリカ側からロッキード社のP3C対潜哨戒機の売り込みがあったという。後にロッキード事件が起こり田中は逮捕されるが、このときのことをアメリカ側が根に持ち、田中を陥れるために事件をつくり出した「謀略」ではなかったのかという見方が、いまだにある。
宇野宗佑は首相就任早々、神楽坂の元芸者が宇野との房事を告発したことで短命に終わったが、89年に行われた父・ブッシュとの会談もたったの6分だった。
だが、ブッシュ側からは、アメリカの小売店の日本進出を可能にする大規模小売店舗法改正、日本企業によるアメリカ不動産買い漁りを止めさせるための国内地価抑制などをテーマにする「日米構造協議」の開催などを突きつけ、ことごとく実現させた。英語に堪能だと謳われた宮澤喜一も、93年、東京サミットに乗り込んできたクリントンから、アメリカからの輸入量の数値目標を示すよう迫られ、悪名高い「年次改革要望書」も認めさせられたのである。
「米国は日本に大店法廃止、郵政民営化など毎年の改革要求を突きつけ、日本は経済主権を失い、『第2の占領』状態になった」(同)
社会党出身初の首相になった村山富市は、訪米したがクリントンとはサシでは会えず、他に会ってくれる閣僚はほとんどいなかったという。
2009年、麻生太郎は就任早々のオバマと会うために訪米したが、サシの会談も昼食会も共同記者会見もなかった。では先の「ロン・ヤス」時代はどうか。財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」に苦しんでいたアメリカは、1985年9月に、ドル危機を防ぐため円高・ドル安の政策合意を決定した(プラザ合意)。
1ドル=240円台だった円が、わずか3年で1ドル=120円台へと跳ね上がり、その後の超円高時代をもたらした。
小泉純一郎とブッシュ時代はどうだろう。13回も首脳会談を行ったため、良好だといわれていたが、2002年に小泉が北朝鮮を電撃訪問すると、北朝鮮を「悪の枢軸」と非難していたブッシュは日朝接近をぶち壊す方向に動き、「北朝鮮がウラン濃縮計画推進」という情報を公開して、日朝平壌宣言を事実上空文化させてしまったのだ。
日米首脳会談とは、「米国大統領がヘゲモニーを振りかざし、『NOと言えない』日本の首相が要求を丸呑みするセレモニー」(同)なのである。いくら親しそうに見えても国益が絡めば、常に“アメリカファースト”なのは、トランプに始まったことではない。そこのところを安倍首相はまったくわかっていない。それが日本にとって最大のリスクであることは間違いない。
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