『山田孝之のカンヌ映画祭』第6話 “カンヌの申し子”河瀬直美監督が山田孝之をフルボッコに……
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「一生の作品に携わることができてうれしく思ってますし」「私のことを必要としてくださってて、山田さんについて行きたいと思ったので」と、芦田が言葉を選びつつ慎重に答える様は、まるで、おそらくこの後に経験したであろう名門中学での面接試験のようだ。しかし、この「予行練習」よりも恐ろしい本番はなかっただろう。
なぜなら、実際の学校の面接官は「一つの道具として使われたりしない? 大丈夫?」などと、芦田に切り込んできたりはしないからだ。
すかさず山田が、役者はやったことがない役だと燃えるからと援護するも「12歳だよ?」と、もはや我々が忘れていた正論を綺麗に内角に放り込んでくる。
やはり今までの「敵」とは違う。芦田と同じ年の子どもがいるという河瀬に対し、明らかに今までの大人のように、芦田自身が「子ども」ということだけではやり過ごすことができないと感じているかのように見える。
それでも、この役に挑戦してみたいとの意思を芦田が伝えると、「『ぎゃーっ』て叫んだら表現できるってものでもないやん?」と、もう芦田を辞めさせたいがごとく詰め寄る河瀬。
叫びの演技は撮影時(第3話)、芦田自ら提案したものだったはずだ。今まで、「聖域」として誰もが踏み込まなかった芦田の内側にまで踏み込む河瀬。カンヌ受賞監督であるとともに、母親だからできる対峙の仕方に見える。
つくづく芦田には、改めて本当に合格おめでとうと言いたい。
この後もずっと、主に山田に対する「河瀬のターン」は続く。
「魂の込め方が、『何かのために』というのがすごく見える」
「魂のために、ということとかはないの?」
「大事なものがぶれちゃう」
「道が違う」
もはや無言で、汗を拭うしかできない勇者タカユキ。
さらにすごかったのはここからだ。
河瀬は、山田には俳優として、とても才能があると熱を込めて語り、「もっと真摯に俳優としてやったら、カンヌの俳優賞を獲れる、あなたなら」と詰め寄り、そして最後に「私とやれば!」と付け加えたのだ。
思わず「ん?」と珍しく戸惑う山田に対し、さらに「やる?」と、セックスを誘うがごとく決断を迫るモンスター河瀬。山田は見たこともない表情で固まっている。
敵対する「勇者」を自分の内に取り込もうと駆け引きに持ち込むのは、まさに『ドラクエ1』の決戦直前の竜王のやり口。
ゲームではここで竜王の誘いに乗ってしまうと、最終対決目前にして突然ゲームオーバーになってしまうという罠なのだが、「カンヌの勇者」はどうするのか?
次週予告「第7話 山田孝之 覚醒する」
なんと、河瀬の撮影現場で役者として待機している山田の姿と、その肩を叩く河瀬監督。山下や松江のつぶやきによると、ここまでが「A面」で、次週からが「B面」となるらしい。どうやら急展開しそうな次週。しかも前々から、続く第8話は神回だと言及していて、いよいよ目が離せない。
(文=柿田太郎)
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