ラジオの未来は“見えないラジオ”!? 川野将一が語る、ラジオと歩んだ半生と野望とは
#インタビュー #ラジオ #水道橋博士
――18年! 忘れちゃうくらい、時間が流れていますね。
川野 博士と会わないまま、博士がメールマガジンを始めたっていう情報が入ってきて。それで、ここが自分の参加する現場なんじゃないかって思ったんです。そのころにちょうど、博士が『藝人春秋』(文藝春秋)を出して、月島でトークイベントがあったんで行きました。18年経て、やっと会いに行ったんです。ご挨拶してサインもらいながら「あのときの“星野スミオ”です」って伝えて、その後に「メールマガジン、いつも読んでいますけど、僕もラジオで参加させていただけませんか?」って言ったら、ぜひということで声をかけていただきました。そこで新しく『ラジオブロス』が始まったんです。ここに来るまでに、こういう変遷があったという話なんですけど……聞いていることとズレちゃいましたかね?
――いえいえ! こんな深い歴史があるとは。ラジオ関係の仕事をしたいという気持ちは、あんまりないんですか?
川野 ……その流れで言えば、ラジオ局をつくりたい。
――ラジオ局! 自分で、この時間はこの人に任せて、この時間はこの人に……ということですか?
川野 妄想でコンセプトがあって、今って誰が話しているかって顔がわかるじゃないですか。調べれば、ネットとかで。でも、昔は「どういう顔なんだろう」って話している人の顔がわからなかった。一つ便利になったことで、一つ失っている楽しみがそれだなって思うんですよね。よく“見えるラジオ”なんて言葉がありますけど、“見えないラジオ”をやってみたい。
――“見えないラジオ”! “聞けば見えてくる”の逆をいくわけですね。
川野 誰が話しているかわからない。何がいいかっていうと、例えば『ONE PIECE』(集英社)の作者の尾田栄一郎さん。あの方、すごいお話が大好きで面白くて、ラジオ番組にゲストで出たりするんですよ。『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』(TOKYO FM)にゲストとして尾田さんが出ていらっしゃる。そこで、昔の日本映画について話したりとか。最近でいうとGReeeenとか。彼らも単発でラジオとかやっていますけど、顔は出さなくてもおしゃべりが好きなおもしろい人を出すラジオ局を作りたいっていう勝手な妄想(笑)。ラジオ局を作るっていうのは、莫大なコネクションと莫大なバジェットが必要なことはわかっていますから、それはあくまで妄想で。
けれど、ラジオに関わりたくないんですか? って聞かれれば、むしろラジオ局を作りたいって答える。
――関わるというよりも、もっとディープにということですね(笑)。今回の連載が始まった時に、最初に書きたいという人はいたんですか?
川野 “テレビの放送作家でラジオのヘビーリスナー”と名乗っているんですけど、1番最初に自分の自己紹介的なことも含めて書けるなと思ったのが、久米宏さん。久米さんって、もともとTBSラジオでずっと話していた人なんですよね。それが『ニュースステーション』(テレビ朝日系)とか『ザ・ベストテン』(TBS系)とか、テレビの世界に生きて、またラジオに戻った。僕は“ブーメランパーソナリティ”って勝手に呼んでいるんですけど(笑)。その人生の歩み方がまずおもしろい。久米さんを最初に取り上げようっていうのは、連載を始めるかなり前から思っていましたね。
連載は、その時々にあわせて「あ、今はこのタイミングだからこの人書こう」みたいなことでやっています。毎月、日常で聞く番組と課題として聞く番組がある。だからね、本当のラジオファンからすると、あまり健康的な聞き方じゃないかもしれない(笑)。
(取材=菅谷直弘[カカロニ])
読むべし。
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