27歳で夭折したA・イェルチン主演作が日本公開!! 『グリーンルーム』に登場するネオナチが怖すぎ
#映画
『スター・トレック』シリーズ、『ターミネーター4』(09)などのハリウッド超大作に出演する一方、カルト的人気の高い『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』(13)や音楽ドラマ『君が生きた証』(14)といった通好みな作品でも活躍した若手俳優のアントン・イェルチンが亡くなったのは2016年6月。自身が運転していたジープと自宅の門柱に挟まれての事故死だった。27歳の若さで亡くなったアントンの主演映画『グリーンルーム』が2月11日(土)より日本で公開される。売れないパンクバンドがド田舎のライブハウスまで足を伸ばしたところ、地元のネオナチ集団に襲撃されるというバイオレンススリラーで、パンクバンドのメンバー役のアントンは全身血まみれになりながら迫真の演技を見せている。
米国では2015年に公開され、No.1ヒットを記録した本作。グリーンルームとはライブハウスにある出演者たちのための楽屋のこと。ベーシストのパット(アントン・イェルチン)らパンクバンド「エイント・ライツ」のメンバーは移動車のガソリン代にも困るほどの極貧ツアーを続けていた。ようやくギャラを払ってもらえそうなライブハウスの出演にありつけるが、そこはオレゴン州の僻地にある盛り場で、スキンヘッドのゴロツキたちがたむろする超ヤバい店だった。最悪の雰囲気の中で何とかライブを済ませた一行は速攻で引き揚げようとするが、たまたまバックステージで起きた殺人事件を目撃。パットたちは楽屋に押し止められ、警察はいくら待っても現われない。実はこの店のオーナーであるダーシー(パトリック・スチュワート)はネオナチ集団のボスであり、「目撃者は全員消せ」という命令が手下たちに下されていた。かくしてステージ上で反体制ソングを演奏しまくっていたパットらは、ネオナチを相手に楽屋での籠城戦を強いられる。パンクス魂だけで、果たして武装集団に対抗できるのか?
パンクス版『ダイ・ハード』(88)とも、現代版『わらの犬』(71)ともいえる本作を生み出したのは鬼才ジェレミー・ソルニエ監督。“21世紀のサム・ペキンパー”と称されるほどバイオレンス描写を得意とし、連鎖する暴力のおぞましさを描いた前作『ブルー・リベンジ』(15)はカンヌ映画祭で国際映画批評家連盟賞など5つの賞を受賞した。本作でも米国の田舎町にはびこる排他的な不穏な空気や逃げ場のない楽屋に立て篭るバンドメンバーの絶望感など、観る者の皮膚感覚に強烈に訴え掛けてくるものがある。それまでビンボーながらも自由を謳歌していたパンクバンドのメンバーがひとり、またひとりとネオナチの犠牲者となっていく展開は、右傾化する現代社会の写し鏡として背筋が寒くなる。
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