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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 「東宝」の“本音”をあぶり出す!?

『山田孝之のカンヌ映画祭』第4話 理不尽な要求が「大手映画会社・東宝」の“本音”をあぶり出す!?

 そして正直に「これを見て、こういうことをやりたいんだと初めて知った」と言ってしまう山下。まるで噛み合っていない。

 この矛盾に対する山内の反応はわからなかったが、まさか、その映画の監督が、外部である自分(山内)と一緒に初めてパイロットフィルムを観ていたとは、夢にも思うまい。

 山下監督がここで初めて映像を見たということは、つまり編集にもまったく関わっていないということである。

 役者はカメラ前で演じたら、その作業としては終わりだが、監督はその撮影した素材をどう切り張りし、つなぎあわせるかが、撮影時以上に意味のある作業だ。そこがすべてだという人もいるくらい。

 前回、山田が演出をし、今回も山田が編集し、完成したものを、外部の人間と一緒に観せられている。

 もはや山下は、山田の前でオロオロするという役割のためだけに画面内に存在しているかのようだ。

 そんな中、山田が1億円の資金を求めていることを告げる。

 それを聞き、とりあえず今できることに注力しようと決めたのか、「雨降っててね? 大変な撮影だったけど頑張ったもんね?」と芦田を巻き込む山下。まるで仮装大賞の萩本欽一のような援護射撃。

 何かを察したのか「1億円、よろしくお願いします!」と頭を下げる、勘のいい芦田。たちの悪いチームワーク。

 途中、山内は、できたてだという『穢の森』のポスター(芦田の顔がアップになった幻想的なもの)を見せられるのだが、正直、今どうでもいいことだろう。

 あげく、できればプロットなり脚本が欲しいという、まっとうな要求を述べる山内に対し、山田は自分が今まで関わった東宝作品の興行収入累計が500億に達すると、自作のリスト(エクセル)を見ながら告げる。

 つまり、こんなに貢献してるんだから1億くらいいいじゃないかということだが、あからさまな論理に、素直に爆笑するしかない東宝・山内。山田に対して笑ってくれる山内に、ついホッとしてしまうほど、山田の言うことはイカれている。

「それは、また別じゃない?」「数字を出すのは……」

 すぐさま保身を優先する山下の姿も、ある意味いつもの光景だ。

 しかし山田の「単純に即決はできないということですか?」という発言に、山内がはっきりと顔を曇らせる。

「それは、私だけで出資なり企画なりのゴーサインを、今この瞬間にって、君、それは難しいですよ」

 聞き取りにくかったが、途中「キミ」という言葉が出た。大人の対応を続けてきた山内の心理が、少し見えた瞬間だ。

 もう無理だと思ったのか、それとも撮れ高を確信したのか、東宝を後にする一行。

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