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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 斉藤由貴の娘への愛情が暴走!
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第144回

逃れられない母娘関係の呪縛……『お母さん、娘をやめていいですか?』が描く、“愛情”という名の暴力

 母は、娘を思いやって自分の意見を主張せず、娘の好みに合わせようとする。娘は、母を思いやって母の意見を先回りしてくみ取り、自分の意見のように主張する。そうして母は、娘の意見として、自分の思い通りに事を運んでいく。そこに、娘の本当の好みは入っていない。母の好みをくんだ上での好みだ。

 ここでのポイントは、どちらもまったく悪気がないことだ。むしろ、お互いにお互いを思いやり尊重し、“共犯関係”が成立している。

 そんな2人がひとりの男性と出会うことによって、その関係性に歪みが生じてくる。

 彼女たちが家を新築する際、担当となった現場監督・松島(柳楽優弥)である。

 母が人形作りのアシスタントをしているのも、子どもを自分の分身=人形のように扱うメタファーだろうし、この家族が家の新築を始めたのも、これから彼女たちの関係性を再構築するメタファーだろう。それを“指揮”することになるのが、松島なのだ。

 彼は、持ち前の人懐っこさと積極性で、2人の間に入り込んでいく。

 最初に彼に好感を持った母は、「なんかお似合いね」「(松島を)デートに誘っていいわよ」と美月に提案する。

 娘は困惑するが、母に勧められたから渋々了承するのだ。

 母娘の関係性に亀裂が入ったのは、このデートが発端だった。

 そこで娘は、母が2人を尾行している姿を見てしまう。

「超能力がある」みたいに自分のことをわかってくれるのは、実は母が彼女を尾行したり、日記を盗み見たりして監視していたからだったのだ。動揺する娘に、彼は「もっと自分の好みを主張したほうがいい」と諭す。「自分の好みを言っている」と反論する彼女に、彼はこう返す。

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