アイドルラップの次なる本格派!? “ガチ”で“ドープ”な『E TICKET RAP SHOW』を聞け
#アイドル #ヒップホップ #ラップ #MC内郷丸 #現代アイドルソング学概論
ラッパーブームといわれる昨今、アイドルがラップを、ラッパーがアイドルの楽曲を手掛けることは珍しくない。この連載では、アイドルファンで「社会人ラップ選手権」決勝進出経験を持つ、ラッパーのMC内郷丸が“ラッパー的観点”から毎月大量にリリースされるアイドルソングを定点観測。
アイドルに勝手にヒップホップ的要素を見出し紹介してきたこの連載。第3回にしてはじめて、やっと“アイドルラップ”を扱うことにした。今回の一枚は、『E TICKET RAP SHOW』(IDOL NEWSING)である。
アイドル×ラップといえば、現在は「lyrical school」と「ライムベリー」の二大巨頭が著名だ。lyrical schoolはメジャーデビュシングル「RUN AND RUN」(キングレコード)のMVが“スマホジャック縦型MV”として大きな話題を呼び、世界的な広告賞であるカンヌライオンズで銅賞を受賞するなど、大きな話題を呼んだ。その後も精力的に活動し、これからさらなるブレイクが期待されていただけに、昨年末のオリジナルメンバーのami、ayaka、meiの卒業発表は大きな衝撃であった。
一方、ライムベリーは現在盛り上がりを見せるMCバトルシーンに積極的に参加。一時は事実上解散かと思われたが、MC MIRIがラッパーがマイク1本で競う『戦極MC BATTLE』に参加するようになり、いまではMCバトルシーンのアイドル的存在にまでなっている。バトルで「リリスク(lyrical school)が嫌い」とラップし謝罪したり、日本のヒップホップシーンの女性ラッパーとして確固たる地位にいるCOMA-CHIの「B-Girlイズム」をカバーし、その後Twitter上でいざこざが起こったり、話題に事欠かない。
そんなアイドル×ラップのシーンに名を刻むことになるであろう新たな一枚が登場した。それが、E TICKET PRODUCTIONによる『E TICKET RAP SHOW』だ。
E TICKET PRODUCTIONとは、イラスト、執筆、作詞、作曲などマルチな活動を行う作家・桑島由一の音楽活動の際の名義で、2015年2月までライムベリーの楽曲プロデュースも彼の手によるもの。初期のライムベリーは、かなりオールドスクールな音作りが特徴。そんなアイドルラップシーンの重要人物による、アイドルラップがたくさん詰まったコンピレーションアルバムである今作。簡単にレビューしていこう。正直、めっちゃいい……!
「りんねラップ」& 「りんねラップ2」(feat.吉田凜音)
なんといってもこのコンピレーションの一番の注目は、吉田凜音。NONA REEVESの西寺郷太のプロデュースのもと音楽活動に取り組んでいた彼女だったが、今回のコンピレーションの一曲目「りんねラップ」が大きな話題を呼び、スペシャルユニットNATASHAにも参加。まだ高校生、しかも「りんねラップ」発表時はまだ中学生。2000年生まれのアイドルであるというから驚きだ。
MVには「808state」のパーカーを着て、みなとみらいを闊歩。楽曲ではかつて『関ジャニの仕分け∞』(テレビ朝日系)の企画「カラオケNo.1決定戦」に何度か出演していた経験からか「次私が仕分ける順番/お地蔵さん首振る瞬間」とラップしているなど、彼女のキャラクターがそのままリリック(歌詞)に反映されている。
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