もしも、国がクイズによって統治されたら……衝撃のディストピアマンガ『国民クイズ』
#マンガ #コミック #ザオリク的マンガ読み
「昨年初潮を迎えた日本全国の少女のために炊かれた赤飯の総量は?」
(1)3トン (2)50トン (3)800トン
「新橋の蕎麦屋『長寿庵』のカツ丼には、グリンピースがいくつのっている?」
(1)4個 (2)6個 (3)オヤジの気分次第
「宇宙人はいるでしょうか?」
(1)いる (2)いない (3)わからない
もうね、「そんなん知るか!」としか言いようがない難問・奇問の数々。赤飯の総量とか、どうやって調べるんだよ!? ラストの100問目に至っては、サイコロの目を当てるという、完全に運だけの問題。単に知識があるだけではどうにもならない、クイズ王も涙目のルールです。
奇跡的に決勝クイズに進出できたとしても、決勝クイズで自分の望みに相当する得点に達さなければ失格。当然ながら、望みのレベルが高ければ高いほど、必要な得点は高くなります。
「愛犬を探してほしい」190点
「お隣の奥さんを殺してほしい」110万6,482点
「エッフェル塔が欲しい」 6,021万1,905点
といった具合で、失格者は足りなかった点数によって、最高裁でA~Dの戦犯判決を受けることになります。
A級戦犯は全財産を没収され、その財産および自分自身の身までもが日本武道館でオークションにかけられるという、まさしく身の破滅。B級戦犯でも「刑務所の掃除夫20年」や「シベリア送り」など、やはり地獄のような処遇が待っています。クイズの結果で戦犯扱いって……クイズが、ものすごく恐ろしいものに感じますね。
『国民クイズ』の主人公は、その国民クイズの司会者を務める、K井K一。圧倒的な演出力とカリスマ性で国民支持率98%という絶対的人気を誇る人物なのですが、彼もまた、売れない役者時代に国民クイズに出て失格となり、B級戦犯者として奉仕労働で司会をやらされている身だったのです。
K井K一は次第に、国民クイズ体制を転覆しようとする反体制派のテロリストや佐渡島共和国の国民クイズ打倒計画に共鳴するようになり、表面上は国民クイズを象徴する大人気司会者を演じながらも、国家転覆を謀るスパイとして活動するようになるのですが、果たして……。
そんなわけで、軽い気持ちで読み始めると、予想以上にスケールが大きくて、とてつもなく緻密な設定にグイグイ引き込まれる作品、『国民クイズ』をご紹介しました。もし本当にこんなクイズ至上主義の世の中になったら、一体どうしたらいいんでしょうね? とりあえず、カツ丼にのってるグリンピースを数えるところから始めたいと思います。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)
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