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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ジャック・バウアーが大統領に!?
ベテラン海外ドラマライター・幕田千宏の「すごドラ!」

キーファー・サザーランドが“望まれない”大統領になって孤軍奮闘!『サバイバー 宿命の大統領』

一般教書演説中のテロで政府がほぼ全滅という荒唐無稽な場面から始まる本作だが、 “壊滅状態の政府を立て直すための政治”という視点は、これまでの政治ドラマにはなかったものとしてかなり新鮮だ。日頃は“アメリカ”とひとまとめに考えてしまうが、このドラマを見ると、アメリカは“合衆国”なのだということがあらためて鮮明に浮き上がってくる。荒唐無稽とはいえ、決して非現実的というわけでもないその絶妙なバランスで、今のアメリカを絡め取りながら、しっかりとエンタテインメントしている点が秀逸だ。

余談だが、トムのスピーチライターとなるセスを演じるカル・ペンは、俳優活動を中断してオバマ政権でホワイトハウス広報部のアソシエイト・ディレクターを務めた異色の経歴を持つ人物。リアルな政治の世界を知る俳優がキャスティングされているところも、微妙にリアリティにつながっているのかもしれない。

そんな政治ドラマとしての面白さはもちろんのこと、やはり『24 TWENTY FOUR』のキーファーがテロと戦う大統領を演じるとなれば、議事堂テロをめぐるストーリーにこそ、期待が集まるのは当然だ。ジャック・バウアーのように自らが体を張ってテロと戦うわけではない大統領というポジションで、いかにテロリストを追い詰めていくのか? トムのキャラクターからは、今度は知略で攻めていくぞ、という姿勢が見て取れる。その分、実働部隊となりそうなのが、『NIKITA/ニキータ』で主人公ニキータを演じていたマギー・Q演じるFBI捜査官ハンナだ。事件の捜査を担当しているうちに、ある疑念を持った彼女は、やがてこのテロ事件を独自に捜査していく。トムが政府を立て直すために、わずかな味方だけを頼りに孤軍奮闘する間、彼女はテロ事件の捜査で、やはり孤軍奮闘する。シーズン序盤はトムとハンナにそれほど接点はないが、それゆえに、そんな2人の道がいつどこで交わるのかにも注目だ。

怪しげな生存者や、もはやお約束な内通者の影など、『24 TWENTY FOUR』好きならたまらないポイントはしっかりと押さえつつ、いくつもの疑念が複雑に絡まり合い、次第に議事堂テロという未曾有の事件の背後にさらなる大きな陰謀があることが徐々に浮かび上がってくる本作。第2の『24 TWENTY FOUR』を待望する人の期待にしっかり応えるスリリングな展開は、まさに王道のアメリカン・ドラマだ。

★このドラマにハマった人におすすめ!
『ザ・ホワイトハウス』
『ハウス・オブ・カード』
『24 TWENTY FOUR』


●まくた・ちひろ
映画・海外ドラマライター。『日経エンタテインメント!海外ドラマSpecial』『ゲーム・オブ・スローンズ パーフェクト・ガイド』(日経BP社)、『海外ドラマTVガイド WATCH』(東京ニュース通信社)、『映画秘宝EXドラマ秘宝vol.2~マニアのための特濃ドラマガイド』(洋泉社)等に寄稿。Twitterアカウントは@charumin

最終更新:2019/07/29 16:32
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