日活ロマンポルノは現代社会にどう蘇ったのか? 園子温が撮った極彩色の悪夢世界『アンチポルノ』
#映画 #パンドラ映画館
飛鳥凛の柔肌が眩しい『ホワイトリリー』。陶芸家として生きる師弟の禁断の世界が妖艶に描かれる。
タイトルから察せられるように、『ホワイトリリー』は妖艶なレズビアン世界を描いたもの。人気陶芸家・登紀子(山口香織)の自宅兼アトリエに、弟子のはるか(飛鳥凛)は住み込むで働いている。男癖の悪い登紀子は夜な夜な自分の寝室に男を呼び込むが、男のイチモツだけでは満足できない。息を潜めて登紀子の寝室の様子をうかがっているはるかの部屋を夜更けに訪ねては、男では満足できなかった肉欲を、はるかに奉仕させることで解消させている。はるかはそんな生活に喜びを感じていた。だが、登紀子が知り合いの陶芸家の息子・悟(町井祥真)を呼び寄せ、3人での同居生活を始めたことから、はるかにとっての楽園生活は終わりを迎えることに。
『女優霊』(96)や『リング』(98)などのホラー映画をヒットさせてきた中田監督だけに、登紀子たちが暮らす郊外の一軒屋が舞台ながら、とてもメリハリのある演出となっている。夜更けにはるかの部屋のドアが開き、全裸の登紀子が現われるシーンは、『リング』の貞子がテレビの中から這いずり出てくるシーンと同じくらいのインパクトがある。男性経験のないはるかに悟とSEXするよう登紀子が強要するシーンの異様な緊迫感は、すでに円熟のエロ演出である。
低予算ながら、実力派監督たちがオリジナル作品で競い合った「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」。日活ロマンポルノ誕生50周年を迎える2021年までは、少なくとも継続されていきそうだ。この国の性と性文化はこれからどう変わっていくのか。そして、新しいロマンポルノは何を映し出していくのだろうか。
(文=長野辰次)
『アンチポルノ』
監督・脚本/園子温 撮影/伊藤麻樹
出演/冨手麻妙、筒井真理子、不二子、小谷早弥花、吉牟田眞奈、麻美、下村愛、福田愛美、貴山侑哉、長谷川大、池田ひらり、沙紀、小橋秀行、河屋秀俊、坂東工、内野智
配給/日活 R18+ 1月28日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
c)2016 日活
http://www.nikkatsu-romanporno.com/reboot/antiporno
『牝猫たち』
監督・脚本/白石和彌 撮影/灰原隆裕
出演/井端珠里、真上さつき、美知枝、音尾琢真、郭智博、村田秀亮(とろサーモン)、吉澤健、白川和子、松永拓野、吉村界人、米村亮太朗、ウダタカキ、野中隆光、山咲美花、天馬ハル、久保田和靖(とろサーモン)
配給/日活 R18+ 新宿武蔵野館ほか全国順次公開中
c)2016 日活
http://www.nikkatsu-romanporno.com/reboot/felines
『ホワイトリリー』
監督/中田秀夫 脚本/加藤淳也、三宅隆太 撮影/近藤龍人
出演/飛鳥凛、山口香緒里、町井祥真、西川カナコ、三上市朗、鎌倉太郎、伊藤こうこ、榎本由希、松山尚子、はやしだみき
配給/日活 R18+ 2月11日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
c)2016 日活
http://www.nikkatsu-romanporno.com/reboot/whitelily
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