元ハリガネロック・ユウキロックが語る、お笑い界で「迷子」になった芸人がすべき“決断”
#お笑い #本 #インタビュー
■2020年にコンビ解散の流れが一気に押し寄せる!?
――お笑い界の未来、どうなっていくのでしょうか?
ユウキロック おそらく2020年に、コンビ解散の流れがすごくくると思うんですよ。東京オリンピックがひとつの節目となって。ただね、辞めるんやったら、今やと思う。2020年まではいろんな仕事があるんで。その仕事をうまく取り込むには、今やと。2020年に解散しても何もない、焼け野原しかない。
――芸人さんのセカンドキャリア問題……。
ユウキロック セカンドキャリア問題……あるか、あるかなぁ。
――本には「ハリガネロックは売れなかった」と書かれていましたが、でも一般の認識はそうではなかったと思うんです。面白かったし、売れてる芸人さんとして見ていました。しゃべれて、筆力もある。だからこそ、ユウキロックさんは次のステップに進めたのかなって。ということは、そうはできない「元芸人」さんも、たくさんいらっしゃるのではないかと。
ユウキロック 解散という選択肢の前に、何をしておくかっていうのが大事。現状イマイチだなと思う芸人がおるとしたら、それはもう環境を変えないと、何も変わらないと思うんです。たとえば、ずっと組んでる作家を代えるとか、なんでもいいんですけど、今までとは違うものを注入して状況を変えない限り、そのままなんです。でも、それをみんなしようとはしない。
――変えることの怖さでしょうか?
ユウキロック 大阪から東京に出てきて、今また大阪に帰ろうか悩んでいる後輩が何組かおりまして、話聞いたんですよ。そしたら「あと2回、『M-1』のチャンスあるんで、それでダメだったら戻ろうかと」って言う。いやいや、それじゃ同じことの繰り返しにならへんか? 大阪で『M-1』受けたほうが環境変わるやん。ダメだったから大阪戻りましたっていうのも、大阪に失礼じゃないですか。大阪はね、いま腕のある漫才師たくさんいるんで、その中でもまれて苦しんで考えたほうがよくないか? って。あと戦略的に考えると、いま大阪帰ろうか迷っている芸人が何組かおんのやったら、その中で一番最初じゃないと意味ないと思うよ、って。なんでも一番に決断して、一番に動いたやつの勝ちなんですよ。仕事場所、話す人、遊ぶ人、すべて変えるくらいじゃないと、逆転は難しい。
――それ、芸人さんの世界だけでなく、広く一般に言えることかもしれません。
ユウキロック でもホンマ、40歳ですよ。40歳を境に、思いのほか体が動かなくなる(笑)。やろうと思えばなんでもできると思っていても、体がついていかない。この本には、解散から次の仕事に向かうまでの紆余曲折も全部書いてますから、なんらかの参考にしてもらえたらうれしいです。
――最後にお伺いしたいのですが、芸人に戻りたいなと思うことはありますか?
ユウキロック そうですね。芸人というか、漫才をやりたいなというのは、常に思いますね。でも、昔以上のことができんのかとか、それくらいの相方と出会えるのかというのもありますし。本まで出したので、それに泥を塗るような真似だけはしたくないです。
――元相方さんは、読まれたでしょうか……?
ユウキロック どうでしょう、わかりませんね。昔から相方に厳しいと言われ続けてきて、でもそれくらい真剣にやってきたし、僕のギャラの半分は相方が稼いでくれていると考えてましたから。僕らはお互い、先輩にかわいがってもらうようなタイプの芸人じゃなかったので、仕事は自分たちの実力で勝ち取るしかないと思ってました。そのためには、相方にも、もっともっと向上してもらいたかった。それを考えたら、生半可に優しくとか仲良くとかできないですよね。それくらいの気持ちでやってた……というだけの話で。そうできると思った相手だったから、自分の芸人人生賭けられましたし。
――だからこそ切ない、この物語は……。
(取材・文=西澤千央)
●『芸人迷子』
定価 1,300 円+税
発売/発行 扶桑社
好評発売中!
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事